【千葉】名古屋との大一番で示した確かな進化、そして新たな光明とは

2017年03月12日 松尾祐希

不用意なボールロストが格段に減っていた。

攻守のバランスの良さが際立った千葉。船山(11番)は「全体的にボールを楽に支配できた」と語った。写真:徳原隆元

 ハイライン・ハイプレス。ジェフ千葉の新戦術をひと言で伝えるなら、この表現が最適だ。
【PHOTO】千葉が強敵・名古屋を相手に完勝!
 
 必然的に運動量は多くなる。CBの走行距離がひとりあたり10キロを超える試合は珍しくなく、ゲーム中盤に体力が底を付くこともしばしば。前節のモンテディオ山形戦(1-1の引き分け)も終盤に息切れし、相手の動きにまるで付いていけなくなった。そうした意味で3節の名古屋グランパス戦は、結果だけでなく、内容も含めてポジティブに捉えられる。
 
 序盤から主導権を握ったのは千葉だった。前節同様に高い位置からハイプレスを発動。最終ラインもハーフウェーラインまで押し上げ、つねにコンパクトな陣形を保った。その結果、こぼれ球への反応が良くなり、FW町田也真人を中心にショートカウンターを効果的に仕掛けられた。
 
 しかし、この試合で千葉が"進化"を見せたのはそれ以外の部分だ。とにかく、ボールを奪われなかった。「本当に今日は自信を持ってプレーする選手がほとんどいなかった」と振り返ったのは敵将・風間八宏監督。名古屋の出来そのものが良くなかったのは確かだが、不用意なボールロストが格段に減っていた。となると、必然的にプレスを掛ける回数が少なくなる。最終ラインもハーフウェーラインから自陣に戻るシーンが減り、体力の消耗を最小限に留めることができた。
 
 そして1点リードで迎えた後半のアディショナルタイム、MF清武弘暉が追加点を挙げた。ロングスローの流れからショートカウンターを仕掛けると、町田が自陣から一気に駆け上がる。ゴール前に丁寧なラストパスを送って、試合を決定付けた。体力が残っていなければ、あそこまで走り切れなかったはずだ。
 
 また、開幕からの2試合は終盤に足を攣る選手が出たが、名古屋戦では最後までアクシデントは起こってない。この事実を見ても、いかに余力を残していたかが分かる。
 

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