“本家”も絶賛する「アンリ2世」。日の出の勢いの18歳はフランスA代表入りも

2017年03月08日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

アンリの古巣アーセナルのヴェンゲル監督も興味津々

このエムバペは、昨夏のEURO2016に出場したマルシアル(マンU)やコマン(バイエルン)、入団1年目のドルトムントで輝きを放つデンベレらを上回る才能という声も。(C)REUTERS/AFLO

 ASモナコ所属の18歳のアタッカー、キリアン・エムバペの勢いが止まらない。

 世界にその名を轟かせたのが2月21日、チャンピオンズ・リーグ(CL)のマンチェスター・シティ戦(ラウンド・オブ16第1レグ)だった。その10日前にリーグ・アンでは自身初となるハットトリックを記録していた神童は、敵将ジョゼップ・グアルディオラが舌を巻いた自慢のスピードでマンCのディフェンス陣を翻弄。前半40分には鋭い反応でスルーパスに抜け出し、逆転ゴールとなる豪快な一撃を右足で突き刺した。

 チームはその後マンCに逆転を許して敗れたものの、フランス人選手としてはカリム・ベンゼマ(当時リヨン/現レアル・マドリー)の17歳11か月に次ぐ史上2番目の若さ(18歳2か月)でCL初ゴールを決めた俊英は、鮮烈な印象を残して各方面から称賛を浴びた。

 勢いづくエムバペは、3月1日のフランス・カップ11回戦でも1ゴール・1アシストの活躍を見せ、名門マルセイユを撃破する原動力に。さらに3月5日、リーグ・アン28節のFCナント戦でも眩い輝きを放ち、2ゴールを叩き出してチームを4-0の快勝に導いた。これでリーグ・アンでは9得点と、二桁ゴールが目前だ。

 よく比較されるのが、クラブのレジェンドであるティエリ・アンリ。INFクレールフォンテーヌ(フランスが世界に誇る、13~15歳を対象とした育成機関)を経てモナコに入団したその経歴が同じなら、豊かなスピード、華麗な身のこなし、正確なシュートといった特長や、左サイドから切り込んでゴールに向かうそのプレースタイルも似通っている。

 現在はイングランドで解説者、そしてベルギー代表のコーチを務めるその偉大な先達も、「素晴らしい才能の持ち主だ」と21歳下の後輩を絶賛する。

「ドリブルにシュート、パスと、ボールを持てばなんでもできる。おまけに謙虚で礼儀正しいナイスガイなんだ」

「メディアやファンが"アンリの再来"と言っているのは知ってるよ。ただ正直、こういう比較は好きじゃない。彼は彼。自分の道を歩んでほしい」

 本国フランスでは早くから将来を嘱望されていた「超」が付く逸材で、INFクレールフォンテーヌ在籍時には、現レアル・マドリー監督で、当時は同クラブのスポーツディレクターだったジネディーヌ・ジダンから、「スペインに来ないか?」と誘われたこともある。現在も多くのメガクラブが熱視線を注いでおり、アンリの古巣であるアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督も興味津々だ。

 3月下旬にワールドカップ予選を控えた現在、フランス国内ではA代表にエムバペを呼ぶべきか否かで論争が巻き起こっている。招集メンバー発表は3月16日(現地時間)。奇しくもその前日には、マンC戦の第2レグが行なわれる。代表監督のディディエ・デシャンは若手の登用に積極的なタイプだけに、この試合でインパクトを放てばU-19代表からの大抜擢があるかもしれない。
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