【千葉】先輩も“スーパー高校生”と絶賛の高橋壱晟。開幕スタメンを掴むまでの紆余曲折

2017年03月06日 松尾祐希

キャンプ合流当初は高校選手権優勝が仇となる結果に。

プロ2戦目は55分の出場に留まった。ライバルたちもプロデビューを飾っているだけに安心はできない。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 3月4日に行なわれたJ2・2節の千葉対山形。高卒ルーキーの高橋壱晟はフル出場を果たした開幕戦に続き、山形戦もスタートからピッチに立った。しかし、この日は55分に途中交代。球際で競り負ける場面が目立ち、「もっと良いサッカーをしなければならない」と、フアン・エスナイデル監督を納得させられるプレーを見せられなかった。
 

 ただ、攻撃では前節同様に存在感を発揮。前半からワンツーで好機を演出し、局面を一発で変えるサイドチェンジも効果的に繰り出した。「高橋はスーパー高校生だと思う。めちゃめちゃ上手いし、あそこまで出来るのは本当に凄い」と町田也真人。攻めの部分では"らしさ"を披露し、十分過ぎるほどのプレーだったのは確かだ。
 
 ただし、開幕後の現在こそレギュラーを務める高橋だが、最初から順風満帆に事が進んだ訳ではない。青森山田高を高校サッカー選手権優勝に導いた結果、千葉の練習に合流できたのは1月15日。この時点ですでにクラブは始動してから5日が経っており、高橋自身は連戦による疲労でコンディションが万全ではない。その中でプロのプレースピードに慣れる作業に取り組む必要があり、始動当初の位置付けはインサイドハーフのバックアッパーだった。
 
 それでも、沖縄キャンプで評価を一変させたのはさすがの一語に尽きる。1月22日に行なわれたニューイヤーカップ・琉球戦、後半頭から出場機会を与えられると攻撃面で存在感を発揮。プロのフィジカルコンタクトの強さを前に「体力が持たなかった」と疲労困憊の表情を見せていたが、指揮官を納得させて一躍開幕スタメン候補に名乗りを挙げた。
 
 しかし、チームでの立ち位置を自らの力で変えた高橋にアクシデントが襲う。1月下旬に筋肉系のトラブルで戦線離脱を余儀なくされたのだ。
「怪我をしないためにストレッチをもっとやっておけば良かった」
 
 普段であれば見落とすことはなかったが、開幕スタメンを視界に捉えた結果、気持ちが先走った。そのため、身体の異変に気付けなかった。ただ、幸いだったのは、クラブが高橋の精神状態を察知していたこと。
 
「本当はもうプレー出来るんですけど、合流させてもらえない」と本人は2月9日の時点で語っていたが、怪我が完全に癒えるまで別メニュー調整を命じ、2月18日の相模原戦まで実戦復帰を遅らせた。その結果、怪我は再発せず、オープニングゲームに万全の状態で挑むことに成功したのである。

次ページ何度かいい形でゴール前に入り込んだがパスは回らず。

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