【韓国メディアの視点】浦和戦は「さいたま大惨事」、G大阪戦は「定石の勝利」。対照的なACLの2日間を韓国人記者が鋭く分析

2017年03月02日 慎武宏

FCソウルを叱責する一方、“3・1節”に勝利した済州には賞賛の声。

G大阪を敵地で粉砕した済州・Uには、当然ながら高い評価が与えられた。(C)Getty Images

 衝撃と歓喜の2日間。ACLグループステージ2節の結果に関する韓国メディアの反応は、このひと言に尽きるではないだろうか。
 
 衝撃とは、2月28日に埼玉スタジアムで行なわれたグループFの浦和対FCソウル戦のことだ。「崩れたKリーグのプライド」(総合ニュース『News1』)、「Kリーグ王者の屈辱、FCソウル前半だけで5失点の"さいたま大惨事"」(総合スポーツメディア『スポーツQ』)と、不甲斐ない結果で終わったFCソウルを叱責する記事が多かった。
 
 一方で3月1日に行なわれたグループHのG大阪対済州ユナイテッド戦は歓喜の見出しで一色だった。
 
 韓国では3月1日が、日本統治下にあった1919年3月1日に起きた"3・1独立運動"の記念日となっているのもあって、「"3・1節"に行なわれたプロサッカー韓日戦、済州がガンバを4-1で大破」(一般紙『中央日報』)、「済州、ガンバ大阪を看破、"3・1節"の手本に」(スポーツ新聞『スポーツ東亜』)、「済州、"3・1節"に日本で勝利の賛歌」という見出しが並んだ。
 
 対照的な結果に終わったこの2試合を、韓国のサッカー記者はどう分析しているか。聞いたのは著名なサッカージャーナリスト、ソ・ホジョン氏だ。
 
「まず浦和戦は、1-1で引き分けた2月のさいたまシティカップと同じ戦術を使ったファン・ソンホン監督の采配ミスだった。日本に強い他の監督たちと同様の采配を採るべきだった」
 
 確かにその通りかもしれない。Jリーグや五輪代表など"日本サッカー"を相手にしても強かったチェ・ヨンス(前FCソウル監督)、チェ・ガンヒ(全北現代監督)、ホン・ミョンボ(ロンドン五輪韓国代表監督)といった指揮官たちが"対日対策"として常に強調していたのは"中盤の封鎖"だ。

 日本サッカーの長所である正確なパスワークを遮断することから戦略を立て、そのために中央には常にふたりのMFを配置してきた。そのうちひとりは守備的で戦闘力のあるハードワーカーだった。

次ページ済州は3人のMFで、G大阪の中盤を封鎖した。

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