【名古屋】初陣で見せた“風間グランパス”の可能性。理想形にはまだ遠くとも――

2017年02月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

良くも悪くも掴みどころがない。

新体制での初陣は完封勝ち。白星スタートに選手たちも笑顔を見せた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ開幕戦]名古屋 2-0 岡山/2月26日/パロ瑞穂
 
 2-0で岡山を下し、白星スタートをきった"風間グランパス"は、初陣でどんなサッカーを見せたのか。率直な感想は、良くも悪くも掴みどころがないスタイルだということである。

【名古屋 2-0 岡山 PHOTO】永井が鮮烈2ゴール!
 
 スタートの並びは3-4-2-1。最後方には言わずと知れた守護神・楢﨑を置き、最終ラインは左から内田、櫛引、宮原。ボランチは小林と八反田のコンビで、ウイングバックは左に和泉、右に杉森。2シャドーは玉田と佐藤で、1トップに永井が入った。
 
 ストッパーには本来SBやウイングバックを本職とする内田、両ウイングバックにはアタッカーの杉森と和泉を起用する、攻撃的な人選となった。
 
 ただ、試合が始まってしまえば、このシステムはあってないようなもの。開幕前には風間監督は「僕のやり方を理解してくれれば、選手はポジションでプレーしなくなります」と語っていたが、ピッチ上ではひっきりなしにポジション変更が行なわれ、その形はアメーバのように多様に変化していった。
 
 例えばストッパーの宮原がオーバーラップを仕掛ければ空いたスペースにボランチの小林が入り、リベロの櫛引も一緒に上がれば、もうひとりのボランチである八反田が下がる。ボランチのふたりで最終ラインを形成する時もあれば、シャドーの玉田、佐藤が低い位置に下りると、今度はウイングバックの和泉、杉森が最前線へと張り出す。本来は左サイドが持ち場の和泉が逆サイドいっぱいまで開き、杉森とパス交換するシーンもあった。
 
 これだけ目まぐるしく選手が入れ替われば、守備側としてはたまったものではないだろう。
 
 ただ冒頭で"悪くも"と言ったのは、ポジションが固定されていないため、決まった攻撃の形、パスルートがなく、各々の動きが噛み合わないと、なかなか縦にボールが入らないのだ。特に開幕戦独特の雰囲気で「硬くなっていた」(風間監督)前半は、自陣での横や後ろへのパスが目立ち、敵陣に有効なボールを運べたとは言い難かった。
 

次ページ攻撃の質の向上は今後の課題に。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事