【広島】攻守の中心に千葉和彦あり。5か月ぶりのリーグ戦出場に噛み締めた喜びとは?

2017年02月26日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「(出場停止の)期間中、ピッチに立てる喜びを再認識した。真摯にサッカーに取り組みたい」

5か月ぶりのリーグ戦出場となった千葉。やはり、この男がいるとチームが締まる。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ開幕戦]広島1-1新潟/2月25日/Eスタ
 
 3バックの中央に背番号5の姿――。開幕戦のピッチには、広島にとって"いつも"の光景があった。
 
 昨年10月にアンチ・ドーピング違反の疑いで暫定的資格停止処分を受けた千葉和彦にとって、昨季第2ステージ12節の鳥栖戦以来となるリーグ戦出場。今年に入って、ムアントン・ユナイテッドとのトヨタプレミアカップやJ2山口とのプレシーズンマッチがあり、まったく試合を経験していないわけではなかったが、リーグ戦はまた別物である。
 
 立ち上がりこそ新潟に押し込まれてピンチもあったが、「僕は固くなることはなかったです」と徐々に自分の持ち味を発揮していく。ブロックを作って堅守を築く新潟に対し、横のパス交換で糸口を探りつつも、崩せないと見るや最後方から果敢に前線の工藤壮人や森島司へ鋭い縦パスにトライ。停滞気味の攻撃にアクセントをつけた。
 
 ただ、千葉はあるワンプレーを悔やむ。それは失点を喫した場面の対応だ。ロングフィードに抜け出したロニをケアしようとサイドにポジションを移すも、中央に折り返しを許してしまい、こぼれ球を田中達也に決められてしまった。今季はプレスをかけてより前に重心をかけるサッカーを目指しており、時に守備陣には広大なスペースのカバーリングが求められるだけに、「一瞬の隙を突かれる形でやられてしまった」と反省点に挙げる。
 
「僕が(ロニに)ついて行ったところで折り返しをさせないようにすれば、(無失点で)守り切れたかなと。相手を後ろ向きにして、(ボールを)下げさせる形に持っていければ良かった。チームとして攻めに行っている分、スペースが空くというのはあるし、どうしても守備陣には運動量を求められる。でも、そこは今シーズンにトライしていいところだと思うし、良い対応ができるように修正したいです」
 
 それでも、「90分やれたのは良かった」と千葉は前を向く。
 
「相手が構えている時に、僕や稲垣選手のところでどう変化をつけるかは、もう少し工夫が必要だと思います。でも、これが自分たちのベストの状態じゃないし、戦いはこれから。勝ち切れなかったのは悔いが残りますけど、次の試合(清水戦)は勝点3を取れるような戦いを目指します」
 
 出場停止処分中、「ピッチに立てる喜びを再確認した」という千葉は、この日もその思いを噛み締めるようにプレーしていた。「真摯にサッカーに取り組んでいきたい」――。広島の"太陽"は、王座奪還を目指してチームメイトたちを盛り立てる。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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