【小宮良之の日本サッカー兵法書】間もなくJリーグ開幕! スペインの名手に学ぶ、リーグの戦い方

2017年02月23日 小宮良之

うまくいかないと、方針を変えたくなる欲求に駆られるが…

最終的に勝つチームと負けるチームの差は何か。昨季、最後の最後で明暗を分けた鹿島と浦和だが、これから始まるリーグ戦ではいかなる結末が待っているか!? ゼロックススーパーカップの再現か、あるいは……。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 2017年のJリーグ開幕が間近に迫っている(J1は2月25日、J2は2月26 日の予定)。
 
 1年近い長丁場の戦い。調子の波はあるだろう。
 
 では、監督やプレーヤーはどんな境地で戦うべきなのか?
 
「フットボールの戦いにおいて、メンタルが占める割合は、周りが考えている以上に大きいんだよ」
 
 そう語るのは、ワールドサッカーダイジェストの人気連載「フットボール合評会」の語り部で、デポルティボ時代にスペインの頂点に立ったMFファン・カルロス・バレロンだ。
 
「例えば、結果が出ないと、メディアやファンは当然のように批判を強めてくる。プロだから仕方ないかもしれない。でも、選手たちはどうしてもナーバスになり、やがて感情を制御できなくなってしまう。そうなると、全ての物事が悪いほうに運ぶ」
 
 この事態を回避するには? その方法がないわけではない。
 
「チームはまず、クラブ組織としての活動指針を決めること。チームコンセプトと言ってもいい。そして、いったん決めたら、容易に動かさないことだ。信念を持って、それを貫かねばならない」
 
「目移りするようなら、永遠にうまくいかないだろう。なぜなら、現場に不信感が生じてしまうからね。自分たちのやることを信じられない集団がいくら頑張っても、厳しい戦いで勝ち残ることはできないんだ」
 
 オフ中に各クラブは各地で合宿を張り、戦う準備を仕上げてきたに違いない。しかし、シーズンへの入り方が悪いだけで、チームには不信感が生まれる可能性がある。これまでの努力が水の泡になってしまう……。
 
 うまくいかないなら、変えたくなる欲求に駆られるだろう。そこで我慢できるか。これは神経戦のようなものだ。
 
「だからこそ、入念な準備が必要なんだ。とにかく、コンセプトをしっかり打ち立てる。そこに筋が通っていなかったら、勝負には勝てない」
 
 スペイン代表としてワールドカップ、EUROを戦い、デポルティボ時代には欧州の舞台で各国のビッグクラブを次々に倒し、地元ラス・パルマスでリーガ・エスパニョーラ昇格も果たしたバレロンは、心得を語った。

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