【コラム】メッシから笑顔が消え、L・エンリケには口笛…バルサの問題が深刻化する

2017年02月23日 工藤拓

L・エンリケは唯一の支持者だったファンからの信頼も失い…。

レガネス戦では決勝点となるPKを沈めた後も表情が冴えなかったメッシ。2ゴールを挙げたとはいえパフォーマンスも能力に見合ったものではなかった。(C)Getty Images

 2月19日のレガネス戦(リーガ・エスパニョーラ23節)、試合終了間際の90分。決勝点となるPKを豪快に蹴り込んだにもかかわらず、チームメートの祝福を受けるリオネル・メッシの表情は険しいままだった。
 
 同日夜のテレビ番組では、ベンチに座る指揮官ルイス・エンリケやコーチのファン・カルロス・ウンスエ、ジェラール・ピケらも同様に、土壇場で生まれた勝ち越しゴールを目の当たりにしても顔色ひとつ変えない様子が映し出されていた。
 
 パリSGに0-4で大敗したチャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント第1戦から5日。奮起を期して臨んだはずの一戦は、開始4分にメッシのゴールで先制した時点で余裕の展開になると思われた。
 
 しかし、71分にウナイ・ロペスに同点弾を食らうなどその後の86分間は残留争いに苦しむ1部初昇格のチーム相手に大苦戦。最終的には勝点3を手にできたものの、メッシはパリSG戦に続いてキレと閃きに欠け、ルイス・スアレスは2試合連続でシュートゼロに終わった。
 
 さらに中盤は攻守で躍動感に欠け、ディフェンスラインは単純な縦パスで何度も裏を取られ、チャンスの数で言えば相手の方が上回っていたほどである。
 
 CLで大敗した影響か、今シーズンのリーガでは最低となる6万3378人の集客に止まったスタンドの反応も、上手くいかないチームの現状を表わしていた。
 
 キックオフ直後のこと。ゴール裏の応援団が「ルイース、エンリーケ!」と歌い始めると、いつもは追随するクレ(バルサ・ファンの愛称)たちの多くが、その声をかき消さんとばかりに口笛で反意を示した。同様のやりとりは、ハーフタイム前にも繰り返された。
 
 2014年夏の就任当時から一部主力選手との関係が良好とは言えず、無気力かつ横柄な応対によりメディア受けも悪い。それでも就任1年目に3冠、2年目の昨シーズンもリーガとコパ・デル・レイの2冠を獲得してきたこともあり、L・エンリケはこれまでファンの支持だけは維持してきた。
 
 しかし、今シーズンはリーガでレアル・マドリーの独走を許し(2月23日現在で1試合未消化の首位マドリーと勝点1差の2位)、CLもベスト16敗退が濃厚となったことで、いよいよファンの間でも指揮官に対する不満が表面化してきたようだ。

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