欧州3年目を迎えた南野拓実があのベルギー代表アタッカーのプレーに惚れ込むわけ

2017年02月17日 安藤隆人

求められるのはゴール前での決定的な仕事と守備の両立。

今季はFWとサイドハーフでプレーする南野。守備面での要求はハイレベルだ。写真:安藤隆人

 2011年のメキシコU-17ワールドカップ。吉武博文監督率いるU-17日本代表は、快進撃を続けベスト8という結果を残した。この『94ジャパン』のメンバーであった南野拓実は今、あの時の衝撃を追いかけ続け、オーストリアの地で奮闘を続けている。
 
「小さい頃から漠然と世界に行きたいという想いがあったのですが、あの大会を通して、自分の中でもっと具体的に感じたものがすごくあった。今後、自分が彼らと真剣勝負をして、互角にやるためには海外に出ないといけないな、と強く思ったんです」
 
 当時、16歳の少年が抱いた感情は、日に日に膨らんでいき、いつしか海外で勝負をするという強い決意に変わっていく。2015年1月6日、20歳の誕生日を迎える直前に、彼はオーストリアの名門クラブであるレッドブル・ザルツブルク経の移籍を決断。単身、海を渡った。
「やっぱり海外に来てみて、文化の違いだったり、サッカーの面でも寄せの強さとか、細かいところでいろいろ感じることがあって、16歳の頃のように、常に感じながら成長できていると思う」
 
 ザルツブルクで会った彼の顔は、非常に引き締まり、同時に充実したものであった。
「最初、ここに来て、日本とのピッチコンディションの差を感じたのですが、綺麗じゃないピッチを見て、逆に『あ、ヨーロッパっぽいな。俺は海外に来てるんだ』と実感させてくれる要素で、自分にとってはすごく嬉しかったですね(笑)。悪いピッチでも大歓迎というか、すごく海外にいることを実感できるんです」
 
 今も少年時代に抱いた純粋な気持ちを持ち続け、さらにヨーロッパのサッカーシーンで自らを向上させようとするモチベーションは、その環境を目の当たりにして、さらなる高まりを見せている。
 
 今季、南野はザルツブルクで3シーズン目を迎えている。オーストリア・ブンデスリーガ2連覇を経験。3連覇に向けて首位に立つチームで、彼は少しずつその存在感を示そうとしていた。
 
 ポジションはFWと右サイドハーフ。2つのポジションの適性をオスカル・ガルシア監督は見出しており、主にサイドハーフとして構想に入っているようだ。ガルシア監督が南野に求めるのは、ゴール前での決定的な仕事と守備の両立にある。

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