【広島】昨季第3GKの廣永が開幕スタメン濃厚 新戦力と若手の台頭に期待高まる

2017年02月13日 中野和也

FC東京戦の零封の原動力となったのは……。

開幕スタメンが見えてきた廣永。昨季までは第3GKに甘んじてきたが、プレシーズンではチームの怪我人が増える一方で急成長を遂げて存在感を増してきた。写真:中野香代(紫熊倶楽部)

 2月12日、サンフレッチェ広島はFC東京と練習試合を行ない、0-0のスコアレスドローに終わった。
 
 FC東京も広島も、互いに練習試合はここまで全勝。ただ現実の仕上がりでいえば、「FC東京も連係面でまだまだ。ウチの方も、細かい部分をもっと詰めないといけない」という工藤壮人の言葉がすべてだろう。引き分けという結果は、内容から見ても妥当だったと言える。
 
 広島視点で見れば、ボールを握ってはいたが「もっと崩せた」「点もとれた」という印象。今のコンディションや連係では森重真人、丸山祐市、林彰洋というJ屈指の守備陣から得点を奪うことは難しい。
 
 前半は「3人目の動き」から稲垣祥の決定的なシュートを生み出し、後半には高橋壮也のクロスに茶島雄介が飛び込んだ決定機もあった。だが、チャンスはいずれも単発。青山敏弘やフェリペ・シウバのパスから「あわや」という状況は生み出せても、ラストパスやクロスが引っ掛かってしまい、シュートまで持ち込めなかった。
 
 確かに、離脱者の多さがチームの現状に暗い影を落としていることは否めない。林卓人、森﨑和幸、柴﨑晃誠、佐々木翔、そしてアンデルソン・ロペスは開幕戦のピッチに立つことが厳しい状況。FC東京戦を欠場したミキッチや宮吉拓実は宮崎キャンプ中に戻れる可能性もあるが、いずれにしても難しい状況にあることには変わりない。
 
 特にGKの現状には不安を残す。昨年まで絶対的な存在として君臨していた林の負傷に加え、セカンドGKとして支えてきた増田卓也の長崎移籍(期限付き)。岡山から6年ぶりに復帰した中林洋次はGKからのポゼッションという広島サッカーへの回帰に苦しみ、コンビネーション不良からの失点を重ねている。
 年代別の常連であり、未来の広島を担う大器・大迫敬介(広島ユース)という存在もいるが、現実的な選択肢は昨年までの第3GKだった廣永遼太郎となるだろう。
 
 廣永の成長は、誰もが認めるところ。「GK陣の中でナンバー1」(下田崇GKコーチ)の足もとの技術の高さに加え、シュートストップ力も向上した。バンコクで行なわれたトヨタプレミアカップでは、タイ王者・ムアントンの決定的なシュートを止めまくり、日本勢としては2チーム目となる優勝に大きく貢献している。
 
 FC東京戦でも、守備陣のミスから招いた決定的なピンチを落ち着いたポジション取りで相手のシュートミスを誘うなど、彼の存在が完封劇の原動力であったことは疑いない。

次ページ開幕までのふたつの試合でどこまで自信を膨らませられるかが鍵。

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