「#FamoStoStadio」ローマから拡散中のツイートの意味と舞台裏とは?

2017年02月11日 片野道郎

数千のリツイートや「いいね」を集めている。

「Famo Sto Stadio」のバナーを掲げるロマニスタ。新スタジアム建設はファンの待望でもある。写真:Alberto LINGRIA

 いまローマで、とりわけロマニスタの間でバズっているのが、「#FamoStoStadio(ファーモストスターディオ)」というハッシュタグだ。
 
 ここ数日でこのハッシュタグを使ったツイートは数千に達しており、ASローマ公式をはじめフランチェスコ・トッティ、ダニエレ・デ・ロッシ、アレッサンドロ・フロレンツィ、エディン・ゼコなど多くの選手がこのハッシュタグを使ってつぶやき、それぞれ数千のリツイートや「いいね」を集めている。
 
「Famo Sto Stadio」はローマ弁で「このスタジアムをやろうぜ」という意味。ローマがかねてから計画し、今年の着工が予定されてきた新スタジアムの建設を進めよう、というメッセージだ。
 
 この計画は、ローマ市南西部郊外のトール・ディ・ヴァッレ地区の競馬場跡地に、5万2500人収容のスタジアム、ショッピングセンター、そして世界的な建築家ダニエル・リベスキンド設計による高層ビジネスタワー3棟を建設し、地域一帯の再開発を行なうというものだ。
 
 地下鉄の延伸に加え、計画地の近くを流れるテベレ川に歩行者専用の新たな橋、高速道路の新たな出口の建設など関連のインフラ整備も含め、総工費は17億ユーロ(約2040億円、うちスタジアムだけで約500億円)という巨大プロジェクトだ。
 
 それにしても、今なぜ突然、スタジアム問題が盛り上がっているのだろうか?
 
 そのキッカケとなったのは、2月3日にスタジアム建設計画の最終案を審査していたローマ市が、「不適格」という答申を出したことだ。地元の自治体が建設に反対するというのは、由々しき事態である。
 
 市は2013年にASローマが発表した基本構想を「公共の利益に資する」として承認し、それを受けて昨年6月に提出したクラブ最終計画案の審査を進めていた。
 
 当初からこの計画に対して肯定的な姿勢を取ってきた市が、これが通れば建設が着工するという最終段階にきて突然手の平を返したことに対して、イタリアの首都では政財界を巻き込む大きな混乱が巻き起こっているのだ。
 
 この「手の平返し」の背景にあるのは、昨年6月にローマ市長が変わったこと。それまで市長を努めていたイニャツィオ・マリーノは、一貫してこのスタジアム計画に好意的な推進派だった。
 
 ところが、そのマリーノが汚職スキャンダルで辞任に追い込まれ、直後の選挙で当選したのが38歳のヴィルジニア・ラッジ女史。2024年のローマ・オリンピック誘致計画を白紙撤回するなど、大型公共投資には否定的な姿勢を打ち出してきた人物だ。

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