【湘南】J1昇格の立役者に名乗り。秋野央樹が新天地に求めたものとは?

2017年01月21日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「勇気のいる決断だったけど、曺さんのサッカーをやってみたいと感じた」

秋野は新体制発表会で、「自分が成長するために、カテゴリーを落としてでも来たいと思った」と移籍決断の理由を語った。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 秋野央樹はプロ5年目の今季、9歳の時から13年間過ごしてきた柏レイソルを離れ、湘南への移籍を決断した。慣れ親しんだクラブを離れてまで――、J1からJ2にカテゴリーを落としてまで――。見ようによっては、「何をしているんだと思われるかもしれない」(秋野)。実際、レイソルに残る選択肢はあったし、レイソルでずっとやりたい想いもあった。だが、「サッカー選手として成長していくには何が必要かを考えた時に、一度外に出て、違う景色を見たほうがいい」という直感を信じ、決意を固めた。
 
「正直、勇気のいる決断でした。でも、J2のレベルが低いとは思わないし、曺さん(曺貴裁監督)と話をした時に、『この人のサッカーをやってみたい』と感じました。サッカー選手として成功するために、湘南でやることが自分にとってとてつもない力になると」
 
 交渉にあたった坂本紘司スポーツダイレクターは、秋野獲得の経緯についてこう説明する。
 
「昨季のJ1でのデータを見ると、『これから攻撃を開始するぞ』という1本目のパスが通らない場面が多く(チーム全体のパス成功率はリーグワースト3位の73.9パーセント)、真ん中のエリア(ミドルサード)でのボールロストが多かった。課題の部分をピンポイントで補ってくれる選手と考えた時に、まずは秋野くんかなと思ったので、ウチから声をかけさせてもらいました」
 
 秋野によれば、会談の際に「湘南に来ても続けて欲しいプレー」と「湘南に来たらもっと良くなるプレー」について、映像を交えながらレクチャーされたという。前者が秋野の特長である視野の広さを駆使した長短を織り交ぜたパスとするなら、後者は球際であり、守備だろう。坂本スポーツダイレクターは言う。
 
「パスの配給に関して、彼がウチで一番上手いのは間違いない。でも、彼がレイソルでやってきたことを出してもらいたいと言うよりは、球際であったり、運動量といった苦手だった部分を伸ばしてもらいたい。彼の成長が我々にとってプラスアルファになる」

次ページJ1昇格の立役者となるべく、希代のレフティは静かに燃える。

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