【甲府】「実は昨年も監督就任を打診していた」。吉田達磨新監督の招聘にこだわった本当の理由とは

2017年01月09日 サッカーダイジェスト編集部

「甲府の今までのスタイルを考えると、どうなのか? という方もいると思うけれど…」(佐久間副社長兼GM)

2017シーズンから甲府の指揮を執る吉田新監督。「トライしていくことで、さらに成長もできる」と展望を述べた。写真:ⓒ2017VFK

 甲府にとっては2017年シーズンが通算8季目、連続5季目のJ1となる。ただ直近の4年間は15位、13位、13位、14位とすべてぎりぎりの順位だった。昨季も佐久間悟副社長兼GMが「4シーズン連続のJ1残留を、ある意味で奇跡的に果たすことができた。シーズン当初は主力の相次ぐ移籍、シーズンに入ると負傷者の続出、シーズン途中にはエースストライカーの移籍と様々の苦難があった」と説明するように、極めて厳しい1年だった。
 
 今季の甲府は吉田達磨新監督を迎え『進化 プロヴィンチアの挑戦』をスローガンに掲げてスタートを切る。
 
 佐久間GMが吉田監督を招聘した理由として挙げるのは以下の5点だ。
1「J1のレベルを十分に理解している」
2「自らのスタイルを持っている」
3「育成年代で十分な経験を持っている」
4「アカデミーのダイレクターや強化育成部長を歴任し、クラブマネジメントも含めて社会性を持っている」
5「将来性/Jリーグが進める国際戦略の中で言う国際感覚」
 
 吉田新監督は15年に柏、16年に新潟で指揮を執っていた。ただし柏の監督を1シーズンで退任し、新潟も4試合を残して解任されている。いわゆる「ポゼッション型」の指揮官でもあり、甲府がJ1の4シーズンで積み上げてきたスタイルとはフィットしないタイプにも思える。
 
 佐久間GMは「昨年も実は吉田監督に監督就任を打診していた。甲府の今までのスタイルを考えると、吉田監督にお願いするのはどうなのか? という方もいると思うけれど、私どもからすると既定路線」とその登用を説明する。残留は果たしてもそれ以上の展望を描けなかったチームにとって、進化を託す人選ということなのだろう。
 
 佐久間GMと吉田新監督が整理をしたという補強ポイントは下記の5つだった。
1「左利き」
2「チーム全体の若返り」
3「安定感、存在感のあるチームの中心的な役割を担ってもらえる外国人」
4「セットプレーを含めてパスを出せる選手」
5「スピードがあって流れを変えられるストライカー」
 
 左利きの新戦力としてDFエデル・リマ、MF兵働昭弘、MF堀米勇輝がチームに加わった。堀米はU-15からのヴァンフォーレ育ちで、昨季は京都でプレーしていた。「『堀米はどうなってるんですか?』というのが会話のスタート。ユースの頃に彼をよく見ていましたし、タレントで左利きといったところと、地元の選手に目を向けるという部分もあった」(吉田監督)という指揮官のリクエストもあり、復帰が決まっている。24歳と若く、昨季は京都で脱皮も見せており、CKやFKのキッカーとしても期待できる主力候補だ。
 
 エデル・リマは187センチと長身だが持ち味はスピードで、3バックの左とウイングバック、ボランチをこなすオールラウンダー。昨季途中に加入したアメリカ・ミネイロでは主力としてブラジル全国選手権(セリエA)でプレーしており、「ブラジルのハードなリーグの中で、アメリカ・ミネイロという1部の最前線で働いてきた。その経験値と実績。ゲーム感が備わっている」(吉田監督)というレフティだ。

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