【知られざるエピソード】“可愛い弟たち”に慕われる内田篤人の本音

2017年01月12日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

慕っていた先輩の背中を見て成長してきた内田も…。

内田を慕う選手は多い。写真:徳原隆元

 内田篤人には"可愛い弟"が何人もいる。具体的に挙げれば、日本代表では清武弘嗣、大迫勇也、鹿島では土居聖真といったところがそれに当たるだろう。
 
 昨年末、そんなに内田に「土居選手はトレーニングに対する内田のストイックな姿勢に大きな刺激を受けているそうですよ」と言うと、嬉しそうにこう話し始めた。
 
「聖真は鹿島ユース出身で、プロになる前からトップチームの練習に参加していました。(自分が)ドイツに行った後、しばらく経ってから鹿島にお邪魔すると、"あの時の高校生"がいたんです。プレーを見たら、当時より格段に上手くなっていて。なんか嬉しかったというか、『俺はお前のことを練習生の時から知っているんだよ』ってお兄さん目線で聖真のことを見ていました。

 今の聖真はちょっと野沢(拓也)さんっぽい。あそこまで天才ではないけど、ちょっと違った速さとか、ターンとかシュートとか上手いですよね」
 
 と、ここまで語ったところで内田は少し寂しそうな表情になる。
 
「プロになった当初は俺が一番下だったのに。周りがみんなお兄ちゃんだったのにな……」
 
 今年の3月で29歳。ベテランの領域に足を踏み入れる現実を改めて受け止めているのだろう。
 
「代表でもそうですよ。(川島)永嗣さん、長谷部(誠)さん、(中澤)佑二さん、闘莉王さん、阿部(勇樹)さん、玉田(圭司)さん。みんなに引っ張ってもらったのに、今は自分がそういう立場になってしまった。不思議というか、歳を取りましたね(笑)」
 
 慕っていた先輩の背中を見て成長してきた内田がいつしか"お兄ちゃん的存在"となり、その背中で「プロとは何か」を語るようになってきた。そして、いずれ──。"可愛い弟たち"も、内田から受け継いだプロ魂を次世代に伝える時がやってくる。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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