ペップはマンCをどう変えたのか? ピッチ内外の「改革」に迫る

2017年01月05日 松澤浩三

「ホリスティック・アプローチ」による指揮官交代。

今シーズンからマンチェスター・シティを率いるグアルディオラ監督。ピッチ内外で様々なテコ入れを施している。(C)Getty Images

 稀代の名将ジョゼップ・グアルディオラを新監督に迎えた今シーズンのマンチェスター・シティは、プレミアリーグ開幕戦から公式戦10連勝という最高の船出を飾った。
 
 しかし、9月最後の試合となったチャンピオンズ・リーグ(CL)のセルティック戦で初めて白星を逃すと(3-3の引き分け)、その後は不安定な戦いが続き、10月以降は国内リーグが7勝3分け4敗の成績で20節を終えて4位、CLも1勝2分け1敗と勝点を伸ばせずグループ2位通過にとどまるなど、開幕当初の勢いがなくなった。
 
 とはいえ、シティ関係者の表情に暗さはなく、サポーターに至っては現在の停滞をまるで意に介していない様子だ。これは、新監督のペップ(グアルディオラの愛称)が、現時点でクラブにもたらしたものがすでに特大であり、一時的なネガティブな状況を憂慮するよりも、将来を見越した長期的な発展を期待しているからだ。
 
 マンチェスター近郊の町ガトリー出身で、幼少時からブルーズ(シティの愛称)を追いかける46歳のリチャード・スノーデン氏は、こう語る。
 
「もちろん、マンチーニ(元監督)はシティを42年ぶりのFAカップ優勝、44年ぶりの国内リーグ優勝に導いたレジェンドだ。しかし将来を見据えれば、ペップが監督になることがシティにとってはベストだったんだよ」
 
 思い返せば、2013年5月にロベルト・マンチーニを解任した際にクラブは、「Holistic Approach(ホリスティック・アプローチ)」という言葉を使っていた。フットボール界ではあまり聞き慣れない言葉で、当時は大きな話題になったものだ。
 
 医学や教育の世界でよく使われる「ホリスティック」とは、身体と感情、メンタルやスピリチュアルな部分、さらに自分たちの周りの環境などを総合的に考えるという意味を持ち、全体論や全体的という言葉に意訳できる。
 
 言い換えれば当時のシティは、「クラブ全体として包括的に発展していきたい。そのために、監督交代を決意した」というわけだ。
 
 つまり、ピッチ上では美しく魅力的なサッカーで結果を残し、ピッチ外ではマーケティングを含めたグローバル展開を進め、さらにユースシステム強化による自前選手の増加など、クラブとしての質を総合的に高めるという狙いがあったのである。
 
 その理想を実現するためシティは当時からペップ招聘を画策していたが失敗。マヌエル・ペレグリーニ(13~16年に指揮)を挟んで、ようやくペップを呼び寄せることに成功したのだ。

次ページハードトレーニングがシーズン序盤の快進撃の基盤に。

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