[選手権２回戦]高松商 ０-１駒澤大高 ／2017年1月２日／駒沢
 
　主導権を掴みながら高松商の守備網をなかなかこじ開けられなかった駒澤大高だが、身長168センチの小柄なアタッカーのひと振りで初戦を突破した。
 
　殊勲の決勝点を決めたのは、ベンチスタートだったMF米田泰盛（３年）。しかも、投入から１分も経っていない状況で結果を出したのだから「あんなにすぐ決めてくれるとは思わなかった」（大野祥司監督）と目を丸くしたのも頷ける。
 
　出番が訪れたのは、スコアレスで迎えた後半17分だった。「ベンチで見ていて流れが悪かったので、なんとかしたかった」との想いでピッチに立つと、その直後にさっそくビッグチャンスが到来する。
 
　高橋勇夢（３年）が右サイドからゴール前にロングスローを放り込むと、ボールは米田のもとへ。「交代してファーストプレーだったので、まさかボールがこぼれてくるとは思わなかった」と言う場面で、とっさに左足を振り抜き試合の均衡を破った。
 
「人生で初めて」となるファーストプレーで奪ったゴール後は、「応援してくれる３年生や出られない選手たちがいる応援席で喜びを分かち合いたかった」ため応援席へ駆け寄り、喜びを爆発させた。
 
　その後は、50メートル走で６秒台を記録するスピードを武器に相手の背後を狙うなど、切れのあるプレーを披露。「（投入前から）心と体の準備はできていた」と語ったように、途中出場ながら上手く試合の流れに入り、この試合のヒーローとなった。
 
　そんな米田だが、前回大会での初戦はスタンド観戦。怪我人が出た影響で１試合にベンチ入りしたものの、出場機会は訪れなかった。
 
　チームは過去最高成績（ベスト８）に終わった一方、「昨年はメンバーから外れて悔しい思いをした」からこそ、今大会に懸ける想いは強い。そして、憧れ続けてきた選手権のピッチに立ち、チームの勝利に貢献できた今、さらなる飛躍も夢見ている。
 
「１試合ずつ目の前の試合を戦って、昨年の結果を越えられれば」――。その立役者となるべく、山梨学院との３回戦でも虎視眈々とチャンスを狙い続ける。
 
 
取材・文：橋本 啓（サッカーダイジェスト編集部）