【川崎】涙を流しサポーターに感謝を伝えた大久保。川崎での4年間で得られたものとは?

2017年01月01日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「ちゃんと伝えたかったけど、泣いてしまったから全部言えなかった」

表彰式ではぼんやりと空を見つめていた大久保。悔しさが滲み出ていた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯決勝]鹿島2-1川崎/1月1日/吹田S
 
 大久保にとって川崎での最後の一戦が終わった。
 
 鹿島との天皇杯決勝。来季の移籍が決定的な大久保はこの4年間の「集大成」として、チャンピオンシップ準決勝で敗れた因縁の相手との大一番に臨んだ。
 
 結果は延長戦の末の敗戦。置き土産としてクラブに初タイトルをもたらすことはできなかった。
 
 試合後、拡声器を持ってサポーターの前に立った男の目には光るものが溢れていた。「最高だった」という川崎での4年間を振り返ると、涙を止めることができなかったのだろう。
 
 どんな挨拶をしたのか――、その問いには「ちゃんと伝えたかったけど、泣いてしまったから全部言えなかった。でも最高でした。(サポーターは)すごく良い雰囲気を作ってくれた」と照れ臭そうに答える。
 
 川崎での4年間はタイトルこそ手にできなかったが、3年連続で得点王に輝くなど栄光の日々を過ごすことができた。本人も「楽しくできました」と晴れ晴れしい表情を見せる。
 
 さらに風間監督の攻撃的なサッカーのなかでプレーできたのも印象深かったのだろう。「(学んだのは)あまり動かなくて良いんだと。最後らへんは動かないと出てこなかったけど(笑)。ボールが返ってくるというのが大きかった」と嬉しそうに語る。
 
 また、パートナーとして組んだ中村憲剛の存在も忘れられないという。
 
「(組めて)良かったです。スルーパスだけでなくDFがいても当ててくれる。それなんですよ。俺らはスルーパスだけを受けて(ゴールを)決めているわけではないから。当ててくれて、それで自分で出して走ってゴールに向かうわけで」
 
 中にはライバルチームへの移籍を快く思わない人もいるのかもしれない。しかし、涙の挨拶の後に沸き起こった大久保コールを聞いていると、この男がどれだけ愛される存在だったのかが分かったような気がした。
 
【天皇杯決勝PHOTO】鹿島 2-1 川崎|ファブリシオ弾で鹿島が今季二冠&通算19冠を達成

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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