移籍志願のハメス、メガクラブへの売り込みは実らず?

2016年12月29日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

代理人のメンデスは積極的に売り込みをかけるが…。

クラブW杯決勝後に移籍志願をしたハメス。しかし、今冬のディール成立は障害が多い。(C)Getty Images

 チームメイトたちが世界一のタイトルに酔いしれているというのに、ハメス・ロドリゲスだけはさっさとミックスゾーンに現われて、こう吠えていた。
 
「もっと試合に出てプレーがしたい。届いているオファーを検討したい」
 
 12月18日、横浜でのクラブワールドカップ決勝後の出来事だ。
 
 背番号10を背負ってチームの中核を担うことを期待され、自らもそう望んでいたにもかかわらず、ハメスはレアル・マドリーの新たなプロジェクトで脇役の地位にすら就くことができずにいる。
 
 指揮官のジネディーヌ・ジダンにとって現在のハメスは、右サイドアタッカーとインサイドハーフの控え選手でしかない。そんな状況で、自ら移籍の意思を仄めかすような発言をしたのは、もはやそれしか解決策はないと考え始めているからだろう。
 
 代理人のジョルジュ・メンデスは、12月23日にオスカールを上海上港に7000万ユーロ(約84億円)で売却したチェルシーに売り込みをかけたが、ハメスがブルーズのシャツを着る可能性は高くない。チェルシーの1月の補強ポイントはまずウイングバックとCBであり、何よりもハードワークを重視するアントニオ・コンテ監督が天才肌のハメスを気に入るかどうか疑問符も残る。
 
 メンデスは同じく顧客のジョゼ・モウリーニョが率いるマンチェスター・ユナイテッドにも可能性を打診しているが、今のところまだ動きはなし。さらにユベントスもハメスに興味を示しているが、こちらも現時点で具体的な交渉にまでは発展していない。
 
 そもそも今冬のマドリーは補強禁止処分を受けており、代役を獲得できない。この1月にハメスを売るとしたら、よほどのビッグオファーしかありえない。
 
 よって、いま現実的に状況を考えれば、ユーベを含めて各クラブが本気で動くのはマドリーの補強禁止処分が解ける来夏以降だろう。その時にはハメス移籍が、より必然的かつ現実的な話になっているはずだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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