【川崎】“夢見てきた舞台”に辿り着いた中村。苦戦の準決勝にも「執念はうちの方が上だった」

2016年12月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「今日は我慢だとみんなで確認し合っていた」

試合後、安堵の表情を浮かべた中村。初の決勝進出を決めた。(C)SOCCER DIGEST

[天皇杯準決勝]大宮アルディージャ0-1川崎フロンターレ/2016年12月29日/日産スタジアム
 
 大宮と川崎が対戦した天皇杯準決勝は、終盤に川崎の谷口が決勝ゴールを奪い川崎が初の決勝進出を決めた。
 
 プロ16年目の中村にとっても天皇杯決勝は初の舞台だ。大宮との激闘を終え、ヒーローインタビューに臨んだ中村は感慨深げに喜びの言葉を残した。
 
「1月1日に、日本で最初にサッカーをする試合なので、小学生の頃から夢見てきた舞台でした。遠回りしすぎましたがみんなのお陰で立つことができました。相手がどこでも決勝で必ず勝ってチャンピオンになりたいです」
 
 ただ、「今日は我慢だと、歯を食いしばって戦おうとみんなで話していた。気持ちの勝利だと思います」と中村が話した通り、準決勝の大宮戦は苦しい戦いとなった。
 
 序盤から大宮の激しいプレスの前に自慢のパスワークを封じられ、チームは劣勢を強いられたのだ。16分頃にはシステムを3-4-2-1から4-4-2へと変更し、徐々に落ち着きを取り戻したが、49分には泉澤とムルジャに決定機を作られるなど、ゲームはどちらに転んでもおかしくない展開だった。
 
 その苦境からチームを救ったのはやはり、頼れるキャプテンの右足だった。85分にCKのチャンスを得ると中村が蹴ったボールは一度DFにクリアされるが、エドゥアルドがヘッドでつなぎ、最後は谷口が押し込んでネットを揺らしたのだ。
 
 接戦を制することができた要因には、中村ははこれまでの悔しさがあった点を挙げる。
 
「執念はあったと思います。今年の悔しさはうちの方が上なはずですし、厳しい試合になりましたが、崩れずに我慢しながら勝機を見出すことができました。最後に足を出すとか、(谷口)彰悟があそこで決めてしまうとか、それぞれの相手にやらせない、決め切るという想いが結果につながったと思います。そういう意味では(チームとして)成長したなと感じました。あとは(決勝へ向けて)やるだけだと思います」
 
 決勝の相手は今季のチャンピオンシップ準決勝で敗れた因縁の相手、鹿島だ。鹿島はその後チャンピオンシップを制覇。クラブワールドカップでは2位に入り、天皇杯も順調に勝ち進むなど、少しの逆境ではぶれない強さを見せている。
 
 それだけに中村も「ボールを握れれば一番良いが、そうはならないはず。だからこそ今日のようなゲームができたのは大きい」と語る。
 
 待ちに待った最高の舞台で初のタイトルを勝ち取れるのか。
 
「勝たないと意味がない」という言葉には強い決意がこもっていた。
 
【大宮0-1川崎 天皇杯準決勝PHOTO】川崎が初の決勝進出。悲願のタイトルまであと1勝!

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事