【G大阪総括&展望】シュート数最多が途中退団の宇佐美。「獰猛さ」を取り戻したい

2016年12月28日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

シーズン終盤に負傷により長期離脱した阿部と並んでシュート40本。

天皇杯の準々決勝・横浜戦で敗れ今季の無冠が決定。地元・吹田スタジアムで開催される決勝にも進めなかった……。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 今季のG大阪の通算42失点は上位6チームで最も多かった。また通算53ゴールは鹿島と並ぶものの、チームとしては過去8年間で最も少なかった(08年の46得点以来)。
 
 個人データで、驚かされるのがシュート数のチーム内ランキングだ。1位が第1ステージのあとアウクスブルクに移籍した宇佐美、それにシーズン終盤に負傷により長期離脱した阿部の40本だった。
 
 パトリックが不調により途中からスタメンから外された一方、宇佐美は本調子とはいかないまでも5得点・5アシストとふた桁ゴールに絡み、第2ステージでブレイクした長沢は自己最多の9ゴールを奪取。序盤戦はなかなかフィットできずにいたアデミウソンも第2ステージから欠かせぬ存在になるなど、前線の軸が入れ替わった。
 
 逆に言えば、攻撃の柱が確立できなかった。結果的には、昨季決めた宇佐美の19点、パトリックの12点を埋め切れなかったことになる。彼らを超えるぐらいのタレントが出てきてほしかったし、何よりパトリックの「12点→2点」という得点数の落ち込みは痛かった。
 
 加えて、宇佐美のクロス数は、チーム2位の60本だった(1位は藤春の60本、3位は米倉の56本)。宇佐美のゴールに向かう姿勢そのものが、チーム全体を動かす「原動力」になっていたことが分かる。彼が仕掛けることで敵陣に綻びが生じて、試合が動く――。そういった"動き"が減っていった。
 
 もちろん、とはいえ成績は第1ステージよりも第2ステージのほうが良い。それはシーズン序盤、ACLを最優先しながらグループステージで敗れ、また主力に負傷離脱や調子を落とす選手が相次ぎ、リーグ戦でも勢いを付けられず……と悪循環に陥ったことが理由に挙げられるだろう。
 
 第2ステージの収穫としては、アデミウソンの生かし方を、チームとして掴めてきたことが挙げられる。前線で自由を得たブラジル人アタッカーは、チーム内のドリブル数チーム1位を記録(81回、2位は倉田の77回、3位は宇佐美の67回)。チーム最多タイの9ゴールを決めて、来季のレンタル移籍から完全移籍への切り替えも発表された。

次ページ来季に向けて、小林、ファン・ウイジョの獲得に失敗。補強が進まず…。

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