仙台ユースを強豪に育て上げた指揮官、越後和男の新たな挑戦

2016年12月20日 小林健志

6年間で6人のJリーガーを育てた手腕

プレミアリーグ参入戦が最後の指揮となった越後監督(左)。仙台ユースを強豪に押し上げた功労者だ。写真:小林健志

 2016年12月16日、広島広域公園第一球技場で行なわれた高円宮杯U-18サッカーリーグ、プレミアリーグ参入戦。ベガルタ仙台ユースは1回戦で広島皆実に0-1と敗れて昇格は果たせず、今季すべての公式戦を終了した。この試合をもって退任となったのが、6年間に渡って仙台ユースを率いた越後和男監督だ。
 
 現在50歳の越後氏は、四日市中央工高から古河電工、ジェフ市原、ブランメル仙台でMFとして活躍し、日本代表でも6試合(1得点)に出場。1999年に現役を退き、指導者に転身した。2006年には指導者S級ライセンスを取得。ジェフ・リーザーブズでの指導を経て、11年から仙台ユースで指揮を執ってきた。
 
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 今回の退任の理由は、マイナビベガルタ仙台レディース(ベガルタ仙台レディースから改称)監督に就任するため。ユース監督を務めた6年間で、6名の選手をJリーグに送り込んだ。越後雄太(13年に引退)、茂木駿佑、佐々木匠、小島雅也はトップチームに昇格。来春には、道渕諒平は明治大経由でヴァンフォーレ甲府へ、同じく千田海人は神奈川大経由でブラウブリッツ秋田に加入する。
 
 選手育成だけでなく、結果もしっかり残した。就任前は決勝トーナメント進出さえ一度もなかった夏の日本クラブユースサッカー選手権で目覚ましい戦績を挙げている。12年大会でが道渕、千田が中心のチームが、南野拓実(現ザルツブルク)擁するセレッソ大阪U-18に勝利して初のベスト8進出。以後2年連続でベスト16入りを果たし、佐々木と小島が中心に臨んだ昨年大会では、清水エスパルスユース、名古屋グランパスU18などプレミアリーグ勢を倒して、初めてベスト4に食い込んだ。
 
 仙台ユース監督就任当初、越後監督が選手によく語っていたのが、「関東の選手と君らはそんなに違わない」という点だった。東北ではパスサッカーを貫けても、全国大会になるとどうしてもDFラインを下げてしまい、選手たちは自信なさげにプレーしていた。就任1年目の11年は東日本大震災の影響もあって公式戦の数が減少。そんな選手たちに場数を踏ませるため、関東遠征を積極的に組んで、激しいプレッシャーに慣れさせたのだ。
 
 関東の強豪チームとの戦いを重ねながら選手たちは自信を蓄え、「そんなに違わない」と肌身で感じさせた。そして就任2年目、クラブユース選手権でのベスト8へと繋がっていくのだ。
 
 
 
 

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