バルサの哲学を貫くイニエスタ「ただ勝つだけではダメなんだ!」

2016年12月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

年齢を重ねることについてもポジティブに捉えている32歳。

ここまで理想のキャリアを築いてきたというイニエスタ。まだ当分のあいだは、ピッチ上で極上のファンタジーを披露してくれそうだ。写真は12月13日に行なわれたカタールでの親善試合。 (C) Getty Images

 先のバロンドール(クリスチアーノ・ロナウドが受賞)では最終候補の30人にノミネートされながらも、最終投票では1票も投じられなかったバルセロナのイニエスタだが、それで彼の価値が下がることはない。
 
 プロとして15度目のシーズンを過ごしているベテランMFは、ここまでバルサ、スペイン代表で輝かしいキャリアを築き上げてきたが、先日、カタルーニャのスポーツ専門局『Esport 3』に対し、バルサのプレースタイル、32歳となった自身についての想いを語った。
 
 かつてクライフによって、ポゼッションサッカーの礎が築かれ、数々の名手たちがそれを体現しながら、見る者を魅了して多くのタイトルを獲得してきたバルサ。それを受け継ぎ、進化させたグアルディオラの下で、新たなサッカーの潮流をも生み出した。
 
 今なお、メッシ、ネイマール、スアレスという魅惑の前線トリオの他、各ポジションに世界トップのタレントを擁するバルサだが、L・エンリケの監督就任以降は、伝統のポゼッションサッカーから少し方向性が変わってきたといわれている。
 
 これによってL・エンリケのバルサは、リーガ・エスパニョーラ、チャンピオンズ・リーグ、クラブワールドカップを制するなど、成功を収めているのだが、イニエスタはそれでもこう力説する。
 
「勝つだけでは十分じゃない。どのようにして勝ったかが、どれだけそれを続けられたかが大事なんだ。何がなんでも勝てばいいというわけじゃない」
 
 クライフも生前、「汚く勝つぐらいなら、美しい負けを選ぶ」と語ったものだが、イニエスタにもその精神が受け継がれているようだ。
 
「バルサは常に、その哲学を貫いていくべきだ。そしてこれからも、この哲学は生き続けなければならない」
 
 ユース時代から、バルサの哲学を植え付けられ、それを誰よりも高いレベルで実践してきたイニエスタも、今シーズンで33歳となるが(誕生日は5月11日)、自身が歳を重ねることについては「楽しみの方が大きい」という。
 
「時の経過は僕を変えていった。22歳の僕と26歳の僕は全く違う存在だったし、30歳の僕と32歳の僕を比較しても同様だ。時とともに常に進化を遂げている。これは、とても良いことだよ」
 
 まだ、引退について考えていないという彼は、これまでのキャリアを振り返るとともに、未来についてのポジティブな考えを最後に語っている。
 
「これまで僕は、自分がチームにとって重要な選手だと感じながら、プレーすることができた。そして今でも、理想のサッカーを楽しんでいる。歳を取るにしたがって、楽しみは減ってくるといわれるけど、僕の場合は全く逆なんだ」
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事