【プリンス関東】代表ではバカにされることも… 東京Vユース復活に懸ける選手たちの決意

2016年12月13日 竹中玲央奈

代表チームメイトとの会話で“舞台の差”をネタに。

2アシストをマークした藤本が力強く攻撃を牽引。東京Vユースをプレミア参入戦に導いた。写真:竹中玲央奈

 東京ヴェルディユースのMF藤本寛也は、しばしば招集されるアンダー世代の日本代表で悔しい想いをしている。ただ、その悔しさの原因は、"試合に出られない"とか"ライバルが活躍する姿を目の当たりにする"とか、そういう類のものではない。
 
 所属チームが位置するカテゴリーが問題なのだ。
 
「多少、バカにされたりもします」
 
 高校年代の最高峰はプレミアリーグであり、東京Vユースの所属するプリンスリーグはいわば2部的な立ち位置である。このリーグではトップに立っても得られるのは参入戦の出場権であり、プレミア優勝で得られる称号とは大きな差があることは明確だ。U-17日本代表におけるチームメイトとの会話の中でも、戦う舞台の差で"イジられる"ことがあると言う。だからこそ、昇格にかける思いは非常に強い。
 
 17節を終えた時点で東京Vは3位であり、勝てば自力にプレミアへの挑戦権を得られる状況だったが、引き分け以下に終われば他会場の結果次第で大きく順位を落とす可能性もあった。優位な状況ではあるが、プレッシャーはあっただろう。その中で迎えた最終節、ホームで相対した前橋育英に3-0の完勝を収めて3位の座をキープ。週末に行なわれる参入戦への切符を手にした。
 
「あまり気負わずに普段通りやろうかなという気持ちでやっていたけど、実際にやってみるとボールを持ち過ぎたり慌てたりした。前半は精度が良くなかった」(藤本)
 
 確かに前半は東京Vにチャンスは多かったものの、どこか慌てる気配を感じ、それがゴール前の精度に影響していたように思える。後半に入ると前橋育英が立て続けにセットプレーを奪い、先にゴールを割る気配も漂っていた。
 
 しかし、その流れに反して先制点は東京Vが決める。62分、自陣でボールを奪うと藤本が前線のスペースへ絶妙なスルーパスを配給。抜け出したFWの松本幹太がGKを交わして先制点を挙げる。そこから「落ち着いた」(藤本)東京Vは3分後、大久保智明のFKに反応した松本が2点目を決め、試合を決定づける。
 
 その後、前橋育英・長澤昂輝がGKへのチャージで一発退場を食らい東京Vが数的優位に立つと、人数差を活かした攻撃で幾度もチャンスを作り、85分には藤本のパスを受けた大久保が冷静に1対1を沈めてダメ押しの3点目を記録。結果的に東京Vが完勝を収め、目標とするプレミア昇格へ一歩前進を果たした。

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