【インカレ】Jスカウトも賛辞。8強止まりも“堀池順天”が攻撃サッカーで魅了

2016年12月12日 竹中玲央奈

川崎強化部の伊藤宏樹氏も「面白いサッカーをする」と賛辞。

2回戦で慶応義塾大を4-2で下した順天堂大。アグレッシブなサッカーで観衆を魅了した。写真:竹中玲央奈

 2チームの明確なスタイルがぶつかり合った好ゲームだった。全日本大学サッカー選手権大会、通称"インカレ"の2回戦、順天堂大と慶応義塾大の関東勢同士の一戦は2-1で前者に軍配が上がった。順大がベスト8に駒を進めた。
 
 相手にボールを持たれるなかでも耐えて、前半終了間際にセットプレーからJ2千葉内定・溝渕雄志のゴールで慶大が先制。しかし、順大が後半開始直後のFKから柳澤亘が頭で合わせて同点にすると、一進一退の攻防が続く。そして85分、同点弾を決めた柳澤がボックス内へ侵入し、中へ折り返したボールをFW浮田健誠が流し込んで順大が逆転に成功した。90分の流れはこういったところだが、その中で際立ったのが勝者となった順大の攻撃スタイルだ。
 
 高い技術に裏付けられたポゼッション力、ショートパスを主体とした順大の攻撃は、大学サッカー界では特異性がある。仲川輝人(町田)や下田北斗(湘南)、町田也真人(千葉)らが躍動し関東大学リーグ4連覇を達成した専修大や、川崎フロンターレの風間八宏監督のもとで醸成された筑波大のそれにも通ずるものがあると言えるだろう。
 
 極端な言い方かもしれないが、欧州ならバルセロナ、Jリーグでは川崎に近い。ちなみに、その川崎の強化部でスカウトを務める伊藤宏樹氏も「面白いサッカーをする」と賛辞を送っていた。
 
 そして、順大にこのサッカーを根付かせたのが、元日本代表の堀池巧氏である。
 
 攻守に意図を持ち、主導権を握るサッカーを根付かせる――。
 昨年、母校である順大の監督に就任した堀池氏は、それまでチームが志向してきた前線からのプレッシングと運動量をベースとしたスタイルを一変させる。
 
「自分たちがもっとボールを意図的に動かして相手のボールを意図的に奪うという、自分たちが主導権を握るサッカーをしたい」
 
 こうした方向性のもと、ボールを保持し、ショートパスを主体としてゲームの主導権を握って戦う戦術へ舵を切った。とはいえ、意固地に"下"でつなぐことや、中央突破にこだわるようなサッカーをしている訳ではない。
 
「うまく外を使える時は使って、そこで中も使う。そういう形が去年よりもよくできてきているように感じます」
 静岡学園高出身のドリブラー、米田隼也は順大のサッカーをそう語った。彼自身はこの日の出来に満足しているようではなかったが、自信を持ってこう続ける。
「やっていても楽しいし、見ていても面白んじゃないかな、と」

次ページ「みんな細かいところでの技術があるので怖がらずに受けている」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事