プレミアEAST初制覇の青森山田。“勝負弱かった”タレント集団はいかにして栄冠を掴んだのか

2016年12月11日 安藤隆人

躍進を支えたのは連動性の高い鉄壁ディフェンス

歓喜の雄叫びを上げる青森山田イレブン。12月17日、広島ユースとのチャンピオンシップに臨む。写真:安藤隆人

 最後の最後まで崩れなかった。
 
 プレミアリーグEAST最終節、FC東京U-18対青森山田。首位の青森山田は負ければ優勝を逃すという、アウェーでの緊迫した一戦に臨んだ。FC東京の猛攻を鉄壁ディフェンスで弾き返し、終盤の85分にカウンターから獲得したPKをMF高橋壱晟(3年)が決めて、1-0の勝利。悲願のプレミアリーグEAST初制覇を飾った。
 
「守備に関してのリスクマネジメントは意識をして、全員がさぼることなく、最後の最後までペナルティーエリアの中に侵入させない。このコンセプトを、彼らは90分やり通してくれた」
 
 ほっとした表情を浮かべてこう語るのは、黒田剛監督だ。
 
 青森山田の守備組織は、強固だった。1トップの鳴海彰人(3年)が積極的なチェイシングで前線からプレスを仕掛けると、高橋と郷家友太(2年)の2シャドーも絡み、敵の中盤での自由を奪う。その後方ではアンカーの住永翔(3年)が、小山内慎一郎(2年)、橋本恭輔(3年)のCBコンビと連動して、中央を固める。そして最後の砦となるのが、高校ナンバー1GKの廣末陸(3年)。最後方に座し、的確なコーチングと安定したセービングで守備陣を統率する。
 
 今年1年間を通じて、試合を重ねるごとに安定感を増したのが、このチームディフェンスだ。初の栄冠を手にする大きな要因となったのは間違いない。
 
 これまでどちらかと言えば、「勝負弱い」イメージが付きまとっていた。選手権では毎年優勝候補に挙げられながらも、なかなか頂上には至らない。昨年はプレミアリーグEASTの終盤で首位に立つも、第17節に鹿島アントラーズユースとの天王山に0-1で敗れ、最終節のFC東京U-18戦で勝利したものの、勝点差1の2位に終わった。
 
「本当に重要な一戦で負けてしまう。昨年はものすごく責任を感じたし、今年は同じことを繰り返さないように、全員で集中して戦うことを意識した」(住永)
 
 もう勝負弱いとは言わせない。今年の選手たちは昨年味わった悔しさを糧とし、新たな歴史を刻むべく、キャプテンの住永、高橋、廣末、鳴海、MF嵯峨理久(3年)ら昨年からのレギュラーを軸に、プレーの面はもちろん、精神的な部分でも逞しさが増した。
 
 
 

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