【インカレ|大阪体育大】負けず嫌いの浅野雄也を突き動かす、兄・拓磨への“ライバル心”

2016年12月10日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「タクのことはあまり気にしないようにしている。調子に乗ってしまうので(笑)」

兄・拓磨が海外でプレーする日本代表選手ということもあり、必然と弟の雄也への注目も集まる。負けず嫌いの本人は、「兄超え」を目指し、今大会の活躍を誓う。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[第65回全日本大学サッカー選手権大会] 法政大 0-3 大阪体育大/2016年12月10日/町田市陸上競技場
 
 大阪体育大2年のMF浅野雄也にとって、自身2度目の全日本大学サッカー選手権大会は特別な意味を持つ。レギュラー奪取へのアピールはもちろん、現在ドイツのシュツットガルトでプレーする2歳年上の兄・拓磨の背中を追いかけ、超えるためだ。
 
 特に、後者の想いはひと際強いだろう。兄の拓磨は今夏、J1のサンフレッチェ広島からイングランドの名門アーセナルへと移籍し、(のちにシュツットガルトへ期限付き移籍)。リオ五輪にも出場した。五輪メンバー選出に際しては、浅野家への取材が殺到。両親だけでなく、弟の雄也も兄について訊かれることや、サッカー選手として比較される機会も自然と増えていった。"兄弟の宿命"に直面している雄也の胸中を、坂本康博総監督はこう代弁する。
 
「そりゃあ、比較されるのは嫌ですよ。オリンピックの時なんか、メディアが何社来たか。兄貴のことを訊かれ続けて、アイツ自身もきっと頭にきていると思う。とにかく負けず嫌いですからね(苦笑)」
 
 雄也本人は「あまり気にしないようにしています。調子に乗ってしまうので(笑)」とあくまで自然体を強調するが、坂本監督によれば、そんな兄への強烈なライバル心が大きくなりすぎ、今季の後半戦はスランプに陥っていたという。ラスト3試合は出場機会がなかったのは、「絶不調で使いようがない」(坂本総監督)ためだった。
 
 それでも、もがき苦しんだ末になんとか復調。今大会初戦となった2回戦の法政大戦、3点リードの85分にピッチへと送り出された。
 
「ダメ押し点を取りに行くぞ」と指示を受けた雄也は、2トップの一角に入ると持ち前のスピードを生かして相手ゴールを目指す。見せ場は87分。後方からのボールに合わせて裏のスペースに抜け出したが、DFとGKを交わし切れずにチャンスを逃してしまう。その後も攻勢に出た法政大陣地には広大なスペースがあったが、押し込まれる時間帯で上手く攻撃の圧力を高められなかった。

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