【湘南】3度目の降格を味わった曺貴裁監督。それでも来季続投を引き受けた理由

2016年12月03日 隈元大吾

「来季の指揮を執るのは難しいかなと思う時期も正直あった」

降格のショックは大きく、続投を決意するまでには多少の時間がかかったという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 先日行なわれた続投会見の席で、指揮官は力強く言った。
 
「ここでやりたいという選手の最大パワーを集めて、『湘南は本当に生きているな、新しいチームになってこういうサッカーができるようになったな』と周りからも言ってもらえるように、また選手がその成長を感じられるようにやっていかなければいけないと思っている」
 
 2005年から湘南のアカデミーを指導した曺貴裁監督は、09年よりトップチームのヘッドコーチを、12年から監督を務めている。今季は第2ステージ15節の大宮戦で降格が決まったものの、クラブからは引き続き来季の指揮を要請されていた。
 
 10年と13年、そして今季と、いずれの降格にも関わってきた身にあって、答えを出すまでには少し時間が必要だった。胸中を率直に口にする。
 
「3回目の降格ということで、大宮戦が終わった後は自分のなかで無力感もありました。クラブからは続投してくれと言われたものの、僕にほとんどの責任があると思ってやっていたので、残ることがこのクラブにとっていいことかどうか、来季の指揮を執るのは難しいかなと思う時期も正直あった」
 
 それでも最終的にオファーを引き受けた理由をこう語る。
 
「僕が考える、選手、グループ、チームの成長を勝点3に繋げていくということにまだ限界はないと思えたし、自分が指揮を執ることで、選手個人の成長と、それに伴うクラブの成長に少しでも力を貸せるのであればやらなければいけないと、やりたいと思えた。そうしたなかで会社とよく話し、来年もお願いしますという話をさせていただきました」
 
 来季戦うJ2に目を向けると、湘南とともに降格した名古屋と福岡はもとより、プレーオフの予断を許さぬシビアな展開を思っても、厳しい戦いが待っていることは想像に難くない。「確実に抜けているチームがいるような時代はもう終わったと思っている」と指揮官も評するタフなリーグのなかで、いかに成長を求めて勝ち抜いていくか。曺監督のこんな言葉に、個人とチームに大切なこれからが浮かぶ。

次ページリーグ戦終了後、指揮官は渡欧し、ブンデスリーガを中心に足を運んだ。

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