ダービーで躍動したイスコ、今後もマドリーで「10番のポジション」を得られるか!?

2016年11月23日 豊福晋

昔を思い出すかのように、自由に生き生きとプレーしたイスコ。

相手の守備を無力化するファンタジスタのプレーを存分に発揮するだけでなく、守備でも貢献したダービーでのイスコ。今後、彼がどこでプレーするかは、試合のたびに注目を集めそうだ。 (C) Getty Images

 クリスチアーノ・ロナウドがハットトリックを達成した先週末のマドリードダービーで、もうひとり輝きを放った選手がいた。
 
「今日はイスコだろう、イスコに話を聞いてくれ」
 
 主役の声を聞こうと集った記者たちにそう告げたのは、C・ロナウド自身だ。
 
 多くのメディアが、アトレティコ戦のイスコは「マドリーに加入して以来、最高の出来だった」と絶賛している。
 
 長短のリズミカルなパス。ボールを受け、タメを作り、時にはダイレクトではたき、2列目を自由に動きながらゲームを作っていく――。
 
 そんなイスコが大活躍を見せた理由のひとつは、彼に与えられた新たなポジションにあった。
 
 この日、ジネディーヌ・ジダン監督は、10番としての役割をイスコに託した。マラガ時代に担って大活躍を見せた、トップ下のポジションだ。前方にはロナウド、両サイドではルーカス・バスケスとガレス・ベイルが、サイドのスペースを狙い続けた。
 
 理想的な環境で、昔を思い出すかのように、自由に生き生きとプレーしたイスコ。自身もこの新ポジションを好意的に受け止めている。
 
「確かに、このポジションは一番やりやすい。もちろん、ジダン監督から与えられた場所で、常に全力を尽くそうと努力しているけれどね。今日が(自分にとって)ベストゲームかどうかは分からないけど、やりやすかったのは確かだ」
 
 ジダンは通常の4-3-3ではなく、イスコをトップ下に置く4-2-3-1を採用した。これがはまり、マドリーは近年、苦手意識すらあったアトレティコ相手に久々に完勝を収めている。
 
 しかし ジダンが今後もこの4-2-3-1を続けるかは疑問だ。
 
 BBC(ベイル、カリム・ベンゼマ、C・ロナウドの前線トリオ)がいる以上、ファーストオプションは4-3-3になる。
 
 この場合、イスコはインテリオールで出場することになる。器用なだけに、このポジションでもプレーでき、実際にこれまでに何度もやっているが、やはりトップ下と比較すると物足りない。ゴールから遠く、後方からの繋ぎ役としてでは、持ち味は十分に発揮できない。

次ページファンの気持ちは、今ではベンゼマよりもイスコに傾いている。

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