【CS準決勝】プレー分析|「満男さんがそこにいるから」。絶大な信頼を得る小笠原が、“門番”として中盤を支配

2016年11月23日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「今日の満男さんは、相手と入れ替わることもなく、全部マイボールにして攻撃につなげていた」(永木)

中盤でボールを狩り、攻撃につなげた小笠原。大舞台のなかでその存在感は際立っていた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[Jリーグチャンピオンシップ準決勝]川崎 0-1 鹿島/11月23日/等々力
 
 この日の小笠原満男をひと言で表わすなら、「門番」だろうか。中盤にどっしりと構え、チームに安定感を生んでいく。際立ったのは守備、とりわけボール奪取である。


【川崎 0-1 鹿島 CS準決勝PHOTO】 3位からの下剋上で鹿島が決勝進出!
 
 例えば25分の場面。川崎がカウンターに出ようとしたところで、中村憲剛から鮮やかにインターセプトを決め、ピンチの芽を摘んだ。後半、キレのあるドリブルを見せていた三好康児とのペナルティエリア内で対峙したシーンでも、コースを読み切り、撥ね返して攻撃に転じて見せた。他にも、ファウルにこそなったが、12分に大久保嘉人、17分にはエドゥアルド・ネットを激しい寄せで潰し、流れを断ち切っている。
 
 小笠原が止めるだけでなく、ことごとくマイボールにしていたからこそ、ボール支配率39パーセントと押し込まれるなかでも自分たちの戦いを貫けたのだろう。ボランチでコンビを組んだ永木亮太が、小笠原の凄さをこう説明する。
 
「憲剛さんに(ボールが)入ったら起点を作られてしまうので、満男さんと僕で行こうと話していた。満男さんがそこにいるから自分が出て行ける。満男さんは、ボールを取り切るだけじゃなくて、次に前に運べるのが凄い。今日は(相手と)入れ替わることもなく、全部マイボールにして攻撃につなげていた」
 
 また攻撃面でも、卓越した戦術眼とバランス感覚で前線にボールを配給。立ち上がりから10本連続でパスに成功するなど、プレーはとにかくシンプルで、なおかつミスが少なかった。

 永木や右SB西大伍とのパス交換を中心に攻撃に関与した。川崎の猛攻に遭った後半はプレー回数が減ったとはいえ、決して運動量が落ちたわけではなく(チーム6位の10.308kmを走破)、相手の行く手に回り込み、攻撃をスローダウンさせるなど、しっかりと役目を果たしている。
 
 先述の永木をはじめ、鹿島の複数の選手から「満男さんがいてくれたから」という言葉が聞かれた。勝利のためには何が必要か、それを知り尽くす熟練ボランチの存在が、チームメイトに安心感をもたらし、本来持つ力を引き出したと言っても過言ではない。

次ページパスの失敗はわずか1回のみ。攻守に“安定感”が際立った。

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