スソがミラノ・ダービーでもたらした「衝撃」。本田の立場はますます…

2016年11月23日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

ロッベンよりもメッシやディバラに近い。

いずれも技ありだった2ゴール。ミラノ・ダービーで22歳のスソが主役を演じた。写真:Alberto LINGRIA

 キュ、キュ、キュキュキュ。
 
 サン・シーロの記者席から見たスソを音で表わすならば、そんな表現が相応しく思えた。とにかく機敏で、ボールは文字通り足に吸い付いている。176cmという小柄な体格をハンデにするどころか上手く使い、相手に身体を入れながらタイミングよく幾度となく敵を抜き去っていった。
 
 11月21日のミラノ・ダービー(セリエA13節)。この22歳のスペイン人アタッカーは、大きな「衝撃」をスタジアムにもたらした。
 
 まずは43分、カウンターから右サイドでボールを受けると、一旦は右にいくと見せかけて左に持ち替えてクリスティアン・アンサルディを揺さぶり、即座に左足を振り抜いてファーサイドのゴールネットに突き刺す。パスを受けてからゴールまでのイメージ、そして振りの速さが生んだ見事な先制ゴールだった。
 
 同点とされた後の58分には、縦パスを出した後にカルロス・バッカの折り返しを受けてペナルティーエリア内に侵入すると、今度は左にいくと見せかけて右を抜いてミランダを翻弄。右足で冷静にゴールネットを揺らした。
 
 その他のシーンでもスソは、鋭いドリブル、パス、そしてシュートで次々と違いを作る。完全に付いていけなかったアンサルディとの交代で左SBに入った長友佑都も、「スソにかなりやられていた。監督には『スソを止めてほしい』と言われて送り出された」と試合後に明かした。
 
 試合間際の失点でミランは勝ち星を逃したが(2-2)、間違いなくマン・オブ・ザ・マッチはこのロッソネーロの8番だった。
 
 右サイドから中央に侵入して左足でフィニッシュした1点目が、アリエン・ロッベン(バイエルン)の十八番の形と似ていたからだろう。当日から翌日のイタリア・メディアは、スソを「ミニ・ロッベン」、「ロッベン・ブランドの継承者」と絶賛した。
 
 とはいえ、そのオランダ代表は爆発的なスピードと類稀なパワーを武器とするアスリート系のウイング。小柄かつ細身な背格好、元々はトップ下というキャリアとセンスの良さ、フィジカル能力よりもテクニックとタイミングで勝負するプレースタイルなどを総合すると、リオネル・メッシ(バルセロナ)やパウロ・ディバラ(ユベントス)などに近い10番系のレフティーと言える。
 
 

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