【鹿島】「この試合が特別ということはない」。平常心でCSに挑む小笠原の真意とは?

2016年11月22日 サッカーダイジェスト編集部

14個のタイトルを獲得した男は、大一番を前にいつも通りの言葉を発した。

「(小笠原)満男がいるだけで、チームが落ち着く」。鈴木常務は小笠原を、そう評価する。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 鹿島で長く強化責任者を務める鈴木満常務は、実感を込めて口にする。
 
「(小笠原)満男がいるだけで、チームが落ち着く。一緒にいる若手はあの背中を見ていれば、普段通りやれば、大丈夫だって聞こえるんじゃないか」
 
 決勝戦を前にした時、ACLでアウェーに乗り込む前、チームが浮足立ってもおかしくない場面で、40番は安心感をもたらす。かつて鹿島で小笠原満男とともに多くの大舞台を踏んだ内田篤人も「満男さんが大丈夫だって言えば、チームは大丈夫という空気になる」と明かすほど、大きな背中である。
 
 小笠原が獲得した国内3大タイトルの数は、実に14(Jリーグ6回、ナビスコ杯5回、天皇杯3回)に上る。これはJリーグ最多タイの数字だ。
 
 敗れればもちろん、今季の年間勝点の兼ね合いで、引き分け以下でも敗退が決まるチャンピオンシップの川崎戦。決勝進出には、勝利しかない決戦を翌日に控えても、やはり小笠原はいつも通りの言葉を口にしたのだった。
 
「いつもと変わらない。特別なことはやらない。1年を通してどの試合も重要だし、この試合が特別ということはない」
 
 引き分けが敗北を意味するという状況にも「試合の状況に合わせて判断していけばいい。そのことは意識しない」と言った。
 
 鹿島は2009年の3連覇を最後にリーグ優勝から遠ざかっている。現在も世代交代の途中で過渡期にあり、川崎戦のベンチ入りメンバーを見渡しても、リーグ優勝を経験したことのない選手が多くなった。
 
 そのなかで小笠原は意図的に「いつも通り」を発信しているという。小笠原が若手だった頃、先輩の背中から感じた安心感。「自分も若い時、そうしてもらった。だから、若手には思い切ってやってほしい」という思いで、どっしり構えているのだ。
 
「チーム、スタッフ、サポーターが一体になって、戦えるのがアントラーズ。このクラブも、最初から強かった訳ではない。タイトルを取ることで強くなってきた。今のチームにはタイトルを取ることが必要。そのポテンシャルはあると思っている。タイトルを取った者にしか分からないものがあるからね」
 
 川崎戦では、ボランチで先発が見込まれる小笠原。その大きな背中でチームに勝利を呼び込む。
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