トゥーレ・ヤヤの鮮やかな復活が今後のペップ・シティにもたらすものとは?

2016年11月22日 山中忍

チームメイトは彼の復帰を望み、いきなりの大活躍を喜んだ。

驚きのスタメン出場から90分後、トゥーレ・ヤヤは鮮やかにヒーローの座に返り咲いた。 (C) Getty Images

 まさかの起用とは、このことだ。
 
 11月18日のクリスタルパレス戦(○2-1)で、トゥーレ・ヤヤは今シーズンのプレミアリーグでは12節にして初めて、マンチェスター・シティのスタメンに名を連ねた。
 
 33歳のセンターハーフは、開幕前にジョゼップ・クアルディオラ新監督から「身体を絞れ」と叱責され、しばしの戦力外を告げられていた。
 
 これに対し、彼の代理人がチャンピオンズ・リーグ(CL)で登録メンバーから外されたことを「侮辱行為」として指揮官を批判したことにより、戦力外扱いは半永久的とも思われていた。
 
 トゥーレ・ヤヤ自身は、2週間前にフェイスブック上で代理人の行為を謝罪してはいた。しかし、戦線復帰の可能性は、試合前日のメディアで話題にすらならなかった。
 
 そんな彼が、前述のクリスタルパレス戦で先発フル出場を果たし、チームの全得点を挙げたうえで、マン・オブ・ザ・マッチに選出されたのだ。
 
 スタメンが発表された時点では、シティ・ファンのあいだでも賛否両論があった。ソーシャルメディアで見る限り、反対派はモラルの低下と加齢による衰えを問題視しているようだった。
 
 だが、チームメイトの反応を見れば、このベテランMFがチームの輪を乱す厄介者などとは思われておらず、頼れる主力として復帰を望まれていたことが理解できる。
 
 39分に先制ゴールが決まると、ペナルティーエリアの左隅にはガッツポーズを繰り返すセルヒオ・アグエロの姿があった。新体制下で定位置が安泰とは言えないCFは、自分のゴールのように喜んでいた。
 
 試合が終わると、次々に笑顔で駆け寄ってきた仲間たち。シティの新たな看板選手となったケビン・デ・ブルイネは試合後、「ヤヤ、戻ってきてくれて最高に嬉しいよ」とツイートしている。
 
 自らも「戻れて嬉しい」と呟いたトゥーレ・ヤヤは、見た目がスリムになっていた。マッチフィットネスは不完全だが、十分に動けていた。
 
 クリスタルパレスのMF陣は、トゥーレ・ヤヤに張り付いても、力強いキープからボールを持って逃げられた。DF陣は、スペースを突かれて距離を詰められなかった。

次ページペップ、シティにとっては新たなに大型補強を施したに等しい。

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