【日本代表】原口はいったい何キロ走ったのか。感動すら覚えた“諦めない走り”

2016年11月16日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

原口はまさにモンスターだ。

無尽蔵のスタミナでフィールドを駆け回った原口。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-1 サウジアラビア/11月15日/埼玉
 
 原口はいったい何キロ走ったのだろうか。後半に入っても一向に足を止めることなく、走って、走って、走りまくる。ワールドカップ最終予選での4試合連続弾という新記録が注目されがちだが、それ以上にクローズアップしたいのがあの半端ない運動量とデュエルの強さだ。

「(4試合連続ゴールについて)特別な気持ちはない。勝ててホッとしている。そっちのほうが大きいです。
 
 ゴールは本当におまけみたいなもの。もちろん点が取れて良かったですけど、それ以外に大切な部分がたくさんある。ゴールにばかりとらわれず、チームとしてやってきたこととか、ポジティブなものがたくさん見えた。そのほうが重要だと思います」
 
 「ゴール以外に大切な部分」──。原口の言葉を拝借すれば、それは「ボールを失った後の切り替えやデュエルのところ、奪い返した後のスピードアップとか」になるだろう。
 
 原口の凄さを実感させられたのが40分のシーンだ。
 
 前線でのチェイシングが及ばずサウジアラビアの選手にサイドへボールを展開されても、足を止めずに自陣まで懸命に戻り、センターサークル付近からスピードアップ。そして、抜群の寄せでボールを奪い返すと、味方にボールを預けて自分はすかさず敵陣にダッシュする……。結局、長谷部から原口めがけて蹴られたボールは長すぎてゴールラインを割ってしまうのだが、見た目以上にハードな上下動を繰り返した原口のタフネスには感動すら覚えた。
 
「戻って、上がって、さらに戻ってというのが自分の特長。今日は切り替えが良かったし、相手が余裕を持つ前に潰せたのが一番上手くいったポイントかなと思います。(攻撃から守備へ)切り替わった後、見るだけじゃなくて取りに行けた。監督の言う、デュエルの部分を発揮できた試合かなと思います」
 
 「見るだけじゃなく、取りに行けた」。ここも、原口の素晴らしい点だ。コースを切りながら奪うところまで実践するのは、なかなかできない。それをロスタイムも含めてやり抜くのだから、原口はまさにモンスターだ。
 
 本人は「まだまだな部分が多い。僕自身のクオリティが高ければ、簡単に2点目、3点目が入っていた」と言うが、「まだまだな部分」を差し引いてもサウジ戦のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)は文句なしに彼だ。最終予選で4試合連続弾を決めたからではなく、「勝利のために戦う」姿勢をピッチの上で十二分に見せてくれたこそのMOMである。

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