【藤田俊哉の目】動きは重い本田だが経験値は最大級。サウジ戦での起用法に注目

2016年11月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

2次予選レベルのオマーンを相手にプレーが急ぎすぎていた。

オマーン戦ではややミスも目立っていた本田。サウジ戦での起用法に注目が集まる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選、大一番となるサウジアラビア戦を4日後に控えるなか、日本はオマーンとの親善試合に4対0で勝利した。
 
 オマーン戦の焦点は、仮想サウジ戦だったはずだけど、残念ながら、本番を想定したテストとしてはまったく歯ごたえがなかった。攻守両面のあらゆる部分でオマーンと日本の差は明らかで、スパーリングパートナーとして、あまりにも物足りないという印象を受けた。
 
 一方で、この試合での日本はあまりにもミスが多すぎた。選手個々がアピールしなければいけないという焦りがあったのか、2次予選レベルのオマーンを相手に、急いでプレーしていた感じだ。スピードに乗ったプレーをしなければゴールをこじ開けることができないのは現代サッカーの常識ではあるものの、スピード一辺倒ではフットボールとしての美しさに欠けてしまう。
 
 ゲームをコントロールするという点で、この日の日本代表には工夫が足りなかった。"緩急"という言葉があるように、"急"ばかりを求めるのではなく、"緩"の部分を意図的に作り出すゲームメーカーが欲しかった印象だ。かつての遠藤保仁のような指揮者がいたら、オマーンをもっと簡単に"いなす"ことができたのではないかな。
 
 とはいえ、このオマーン戦の位置付けはあくまでサウジアラビア戦前のテストだ。戦前、「あまり(代表で)プレー機会のない選手や、海外で試合に出られていない選手にチャンスを与えたい」と指揮官がコメントしていたように、個々のコンディション、新戦力チェックがメインとするならば、大迫、小林のふたりはアピールに成功したと言えるだろう。
 
 ケルンでレギュラーとしてプレーしている大迫、今夏からヘーレンフェーンに移籍して同じく定位置を掴んでいる小林は、所属クラブでの好調ぶりがそのままピッチに出ていた感じだったね。相手のレベルの低さに目をつむったとしても、いかなる試合においてもしっかりと結果を残すのが一流選手というものだから。
 

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