異例の「主将リレー方式」を採用するブラジル。ネイマールへの腕章返還は?

2016年11月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

キッカケはリオ五輪決勝後のネイマール発言だった。

ネイマールの腕章返上をキッカケに、「主将リレー方式」という珍しいスタイルとなったブラジル。南米クラシコでキャプテンを担うのは?(C)Getty Images

 今年6月20日にブラジル代表監督に就任したチッチ。初陣となった9月1日のエクアドル戦から9月6日のコロンビア戦、10月6日のボリビア戦、10月11日のベネズエラ戦(いずれもロシア・ワールドカップ南米予選)まで4戦全勝と好スタートを切った同監督は、チームマネジメントにおいて興味深い手法を取っている。
 
 それが、サッカー界ではなかなかお目に掛かれないキャプテンの"リレー方式"だ。
 
 ブラジル・ワールドカップ後に再任したドゥンガ元監督は、チアゴ・シウバ(パリSG)から腕章を取り上げてネイマール(バルセロナ)に託したが、まだ24歳のエースは巨大なプレッシャーが伴う「セレソン主将」がどうやら重荷になっていた模様。悲願の金メダルを母国にもたらしたリオデジャネイロ・オリンピック決勝後、こう吐露したのだ。
 
「僕はセレソンのキャプテンマークを愛情とともに受け取り、誇りとしてきた。素晴らしい名誉だ。ただ、僕はここで降りたい。チッチには新しいキャプテンを探してほしい」
 
 これを受けた指揮官は、「ネイマールひとりにすべての責任を負わせるのは非人道的だ」と理解を示し、キャプテンのリレー方式という新しいやり方を導入したのだ。
 
 これにより過去4試合ではミランダ(インテル)、ダニエウ・アウベス(ユベントス)、レナト・アウグスト(北京国安)、フィリペ・ルイス(A・マドリー)が順に腕章を巻いた。いずれも28歳以上で経験豊富な選手たちだ。
 
 裏を返せばかつてのカルロス・アウベルト(1970年W杯優勝時)、ドゥンガ(94年W杯優勝時)、カフー(02年W杯優勝時)のような絶対的リーダーの不在を意味するが、これによって複数のベテランにリーダーとしての自覚を即すことに成功しているようで、実際にここまで全勝と結果も出ている。
 
 11月10日(日本時間11日)にはアルゼンチンとの大一番を控えるブラジル。上記4人以外で先発に名を連ねそうな中だと年齢的にパウリ―ニョ(28歳/広州恒大)とマルセロ(28歳/R・マドリー)、フェルナンジーニョ(31歳/マンチェスター・C)にも可能性がありそうだ。
 
 そして、24歳の若さながらすでに73キャップを持つネイマールにも、もちろん資格はあるだろう。しかし、本人が一旦は返上しているうえ、今予選で出場した6試合でFWとしては異常に多い5枚のイエローカードをもらうなど(うち1試合は退場処分に)、やはりまだまだメンタル的な未熟さが否めない。チッチがそのあたりをどう見ているか。
 
 はたして、世界中の注目を集める「南米クラシコ」でセレソンの腕章を巻くのは?
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