ウィルシェアの代表復帰に疑問の声…だが、「未経験の世界」で蘇生しつつあるのは事実だ

2016年11月08日 山中忍

2年ぶりの3試合連続フル出場を果たしたウィルシェア。

ミランやローマといったセリエAからオファーがあったなかで、出場機会を求めてボーンマスを選んだウィルシェア。 (C) Getty Images

 11月11日のロシア・ワールドカップ欧州予選のスコットランド戦と、15日のスペイン戦(親善試合)に向けて、ジャック・ウィルシェアがイングランド代表復帰を果たした。
 
「凄く辛い」と告白した8月の代表落ちから2か月余りで返り咲いた24歳のプレーメーカーにとって、今夏の移籍市場最終日に決まったアーセナルからボーンマスへのレンタル移籍は、代表復帰への決意の表われでもあった。
 
 そんな新天地では、63分からピッチに立った4節のウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦(○1-0)から着実に出場時間を延ばしてきた。9節のトッテナム戦(△0-0)からは3試合連続で先発フル出場を果たしている。
 
 まだ新天地でゴールもアシストもなく、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍も見せてはいないウィルシェアには、「それだけで代表復帰?」という声が巷にないわけではない。
 
 それでも、9月28日から代表で暫定監督を務めるガレス・サウスゲイトは、「潮時だ」として再招集を決めた。正監督への昇格が懸かっているとも言われる11月の2連戦を前にしての勇気ある判断とも見えるが、たしかにウィルシェアにはそれだけの実力がある。
 
 代表指揮官は「選手としての格」という言葉を使って称え、識者間でも「バルセロナでも通用する」とまで評された攻撃センスが影を潜めていた原因は、怪我による長期欠場の繰り返しにあるという認識が大半だ。
 
 昨シーズンは4月からの3試合にしか出場できなかったウィルシェアに、懐疑の目が向けられるのも当然だろう。しかし、今シーズンは一念発起で移籍したボーンマスでトップ下の定位置を掴み、2年ぶりにリーグ戦3試合連続フル出場を果たすなど、小さくない変化を見せているのだ。
 

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