【英国人記者の視点】浦和のCS制覇の鍵はサポーター! 欧州のような敵を萎縮させる雰囲気を作れるか?

2016年11月05日 スティーブ・マッケンジー

2005年の浦和はマンUよりも優れていた。

試合後には見事なコレオを作り上げ、選手を称えた浦和ファン。もちろん選手たちの奮起が優勝に最も必要なことだが、ファンの声援が力になるのも事実だ。 (C) SOCCER DIGEST

 見事に晴れ渡った11月3日の木曜日。しかも休日だ。私はこれ以上ないサッカー日和に、埼玉スタジアムへと浦和レッズ対横浜F・マリノスを観戦しに出かけた。
 
 道中で私は、友人から聞いていた11年前の出来事のことを思い出していた。それはマンチェスター・Uが行なったアジアツアーで浦和と対戦したときのことだ。
 
 その時、ホームだったにも関わらず浦和はアウェーユニホームを着て、マンチェスター・Uは赤いホームユニホームを着用していた。友人によればこれには、浦和ファンは納得がいっていない様子だったという。
 
「なぜ、浦和はホームなのにアウェーユニホームを着なくてはいけなかったのか? サッカーの内容だってマンチェスター・Uに勝っていた(試合は0-2で浦和の負け)」と言っていた友人の話が好きで、以来、私は来日するたびに浦和には注目するようになった。
 
 そんな浦和は、試合開始前から私の期待を裏切らなかった。横浜のメンバー発表時にファンがブーイングで煽ったのだ。これはイングランドではよく起こる光景で、アウェーチームを不快にさせるにはとても良いスタンスだ。
 
 ただ、スタンドの空気はイングランドというよりもセリエAの雰囲気に近かった。一人のリーダーが組織してチャントが始まるスタイルは、ミランやインテルなどイタリアのクラブを私に思い起こさせた。
 
 プレミアリーグの場合はスタンドに明確なリーダーがおらず、試合展開でどこからともなくチャントが沸き起こる。浦和ファンのように組織だった応援というのはほとんどお目に掛かれない。
 
 キックオフ直前の彼らの歌声はそれほど大きくなく、大歓声を予想していた私は少し拍子抜けした。しかし、前半終了間際になり、魂が弾けんばかりの声を出し続ける彼らに感嘆した。
 
 浦和ファンは、ハーフタイムを終えて戻ってくる選手たちに、もの凄いエネルギーを与えた。ゴール裏で跳ねる数千もの赤き人々を目にしたとき、私は思わず目眩がした。それほど彼らの声量と迫力は圧倒的だったのだ。

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