2強を脅かすはずが……大恥かいたレバークーゼンの誤算と今後の反撃

2016年11月04日 中野吉之伴

「こんなことは、今までに一度もなかった」(キースリンク)

2強の一角、ドルトムントには好内容で勝利(2-0)を挙げたレバークーゼンだが、ここまでブンデスリーガでは9試合で4敗を喫し、10位の座に甘んじている。そしてDFBカップ(写真)では3部のチーム相手に大失態を演じた。 (C) Getty Images

 今シーズンは、一味違うところを見せるはずだった。
 
 バイエルン、ドルトムントと勝負できるだけの戦力を整え、「独走バイエルンにドルトムントがどこまで食い下がれるか」という図式以上のものがなかったここ数年のブンデスリーガにおけるタイトル争いに、新たな可能性をもたらす存在として期待されていた。
 
 オーストリア代表DFドラゴビッチ、MFバウムガルトリンガー、ドイツ代表FWフォラントら即戦力を次々と補強。若手も順調に育っており、9月に行なわれた代表戦では、ドイツ代表にフォラント、ベララビ、ブラント、レノ、ターと5人もの選手がノミネートされた。
 
 そんなレバークーゼンが苦しんでいる。
 
 リーグでは、優勝争いどころか、ヨーロッパリーグ出場圏からも大きく離れた10位。第8節のホッフェンハイム戦では、ホームゲームながら0-3という完敗を喫した。
 
 じっくりと守りを固めて冷静かつ効果的にカウンターから得点を重ねていったホッフェンハイムと比べ、古巣対決となったフォラントが開始6分でレッドカードをもらうなど、レバークーゼンからは焦りしか感じられなかった。
 
 この試合では、指揮官のシュミットが相手のナーゲルスマン監督と激しい口論をし、退席処分も受けている。
 
 悪い流れは、これで終わりではない。DFBカップ2回戦では、3部リーグ所属のロッテにまさかの敗戦。相手は79分に1人が退場し、延長戦を含めて40分以上、数的優位に立っていたにもかかわらず、レバークーゼンはゴールをこじ開けることができなかった。
 
 PK戦で好セーブを連発したロッテのGK、ベネディクト・フェルナンデスが、2005~11年までレバークーゼンの選手だったという事実が、なんとも切ない……。
 
 フェラーSDは「これに勝る恥ずかしさはない」とまくし立て、キースリンクは「こんなことは僕がレバークーゼンでプレーしてきて、今まで一度もなかった。みんなで一緒にこの状態から抜け出し、また成功を取り戻せるようにやっていかないと」と声を絞り出していた。
 
 やろうとしているサッカー、やっているサッカーが悪いわけではないし、若さだけのチームでもない。攻撃陣も、中盤も、守備も各パートで見たら、レベルの高いプレーをしている。個人で見ても、巧いし、速いし、強い選手が揃っている。
 
 だが、勝てない。
 
 ドイツ・メディアでも指摘されているように、守備に安定感がないのは確かに大きな問題だ。前述したホッフェンハイム戦でも、キャプテンのCBトプラクが不用意なミスで失点に絡んでいる。
 
 だが、失点が多いとされるチームでは、根本的な問題を中盤から前に抱えていることが多い。守備とは、DFだけでするものではないからだ。

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