【先取り移籍マーケット】狙い目は中国からの"おこぼれ"? 例えば、上海上港のフッキがクラブに留まれば…

2016年11月02日 サッカーダイジェスト編集部

ACLでJクラブ勢を苦しめたエウケソンが、放出候補になる可能性も。

アジア史上最高額となる推定5500万ユーロ(約63億円)の移籍金で上海上港へ移籍したフッキ。この男に押し出される形でエウケソンが放出されるかもしれない、(C)Getty Images

「やはりこの冬も、近年のウインドーと傾向は変わらない」とは、ある代理人の見立てだ。

  助っ人補強に関するその傾向とは、 『Jリーグ経験を持つ選手を中心としたリストアップ』である。さらには、今夏に新潟のレオ・シルバに名古屋が正式オファーを出したように(最終的にはFC東京からハ・デソンをレンタルで獲得)、過去のJリーグ経験より、〝今〞Jクラブで活躍しているかどうかを重視する動きが強まっている。要するに、よりリスクを軽減しようというわけだ。
 
 現時点では、ペドロ・ジュニオール(神戸)の鹿島入りが有力で、その穴埋めとして神戸はハモン・ロペス(仙台)に興味を示しているという。G大阪もR・ロペスは関心があるようで、同時にウイルソン(仙台)やファビオ(横浜)とも接触したと言われる。

 来季から外国籍選手の登録は、国籍を問わず5人まで可能となるが、この緩和策がG大阪の精力的な動きと関係していそうだ。「G大阪はアジア枠でCBを補強しようとしたが、予算に見合った該当者がおらず、外国人枠が変更されたことで、ブラジル人のファビオに的を絞ったのでは」と某代理人は分析する。
 
 ただ一方では、「試合に出られる人数は変わらないし(編集部・注/ベンチ入りできるのは外国人選手3人+アジア枠ひとり)、あまり影響がないのでは」と見る関係者もいる。
 
 助っ人補強のもうひとつの傾向としては、アヴラアム・パパドプーロス(上海申花→磐田)やイバ(河北華夏→横浜FC)のように、積極的に外国籍選手を買い漁る中国リーグからあぶれてきた選手に狙いをつけることだ。
 
 夏の市場が閉まった後だが、武漢卓爾(中国2部)を契約解除の状態になっていたFWグットの獲得に千葉が乗り出していたと聞くし、同時期には杭州緑城を戦力外となっていたコートジボワール人のFWダヴィ・クロード・アンガン(現在はトルコ1部のカズィアンテプスポルに所属)をリストアップしていたJクラブもあったという。
 
 こうした選手たちは前所属クラブが解雇後も年俸の何割かを負担する契約を結んでいるケースもあり、実力者を安価で獲得できる可能性もある。
 
 そんな魅力的な〝おこぼれ〞が、冬のマーケットで注目銘柄になっても不思議ではない。鼻の利く強化担当者なら、ある程度の予測を立てて中国リーグをスカウティングしているはずである。例えば、河南建業のブラジル人FWイヴォはこの冬で契約が満了し、本人も日本でのプレーを視野に入れているとの噂だ。
 
 また、中国のクラブでは監督が南米人から欧州人に変わっただけでも、チームカラーがドラスティックに変わり、実力者でも放出対象になってしまうことが当たり前のように起き ている。
 
 そうした視点で予測を立てるなら、上海上港のスヴェン・ゴラン・エリクソン監督が今季限りで退任するかもしれず(後任には全北現代のチェ・ガンヒ監督が候補に挙がる)、指揮官交代となれば誰が放出対象になるかは興味深いところだ。
 
 この6月に大金を投じて獲得したばかりのフッキがチームに留まれば、エウケソンが宙に浮くかもしれない。推定年俸が7億円越えとハードルは高いが、放出となればディスカウントはしてくれるだろう。今季のACLでJクラブ勢を苦しめたアタッカーだけに、その動向からは目が離せない。
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