【仲介人に訊く移籍市場|Part3】編成の鍵を握る監督人事。今オフの川崎は風間監督の退任で…

2016年10月28日 サッカーダイジェスト編集部

「監督が決まらなければ選手も決まらない」。風間監督の後任に注目。

「監督が決まらなければ選手も決まらない」が定説。川崎は風 間監督の今季限りでの退任が決まっており、後任が注目される。(C)SOCCER DIGEST

 Jリーグは来季から分配金を増額し、さらに外国人選手の登録枠も拡大する。これらの〝変革〞は、移籍マーケットにどのような影響を与えるのか。国内外の事情に精通するエージェントの田邊伸明氏に話を訊いた。

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 移籍マーケットではどうしても選手に目が行きがちですが、監督の動向も選手の決断や交渉を左右する大きな要素です。「監督が決まらなければ、選手も決まらない」――。この図式は、ルールが改正されても変わりません。
 
 ひとつ例を挙げるなら、昨オフの湘南です。年間8位の成績を残しながら、曺貴裁監督の去就がなかなか決まらなかった。続投決定が11月末までズレ込んだ結果、外国人選手を含めて上手く補強ができず、チーム作りで後手を踏んでしまいました。今季苦しい戦いを強いられたのは、必然だったと言っても過言ではないでしょう。
 
 当然、選手としても、所属クラブに残るのか、新天地を求めるのか決断するうえで、監督人事は気になるところ。主力が契約更新を迎える場合、クラブは監督を早く決めて来季のビジョンを明示しないと、選手を引き抜かれる可能性が出てくる。リスクヘッジにおいても、監督の存在は大きな意味を持ってきます。
 
 今オフは、すでに川崎の風間八宏監督の退任が発表されています。内部から昇格させるのか、外部から招聘するのかはさておき、現時点で「未定」となっている後任の決定時期と新指揮官の手腕は、来季のチーム作りに大きな影響を与えるはずです。
 
 そのほかJ1では、シーズン途中で小倉隆史前体制からボスコ・ジュロヴスキー新体制へと舵を切った名古屋や、残留争いの真っ只中にある新潟、J2降格が決まった湘南あたりは動きがあるかもしれません。またJ2では松本と自動昇格を争うC大阪や、プレーオフ圏内につける京都も同様です。現在フリーの城福浩・ 前FC東京監督や関塚隆・前千葉監督の名前も、「監督市場」に浮上してくるでしょう。

解説●田邊伸明(日本サッカー協会登録仲介人)
PROFILE たなべ・のぶあき/1966年、東京都生まれ。ジェブエンターテイメント代表取締役。稲本潤一(札幌)、大久保嘉人(川崎)、槙野智章(浦和)、森脇良太(浦和)、浅野拓磨(シュツットガルト)、橋本拳人(FC東京)らと契約する。日本エージェント界の草分け的人物である。
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