【浦和】優勝へのキーマンとなる“3番手”。青木拓矢が組織のピースとして欠かせない理由

2016年10月26日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

阿部との熟練されたコンビネーションを披露。

今季リーグ戦初先発を果たした青木(16番).的確なポジショニングでチームに落ち着きをもたらしていた。写真:徳原隆元

[J1第2ステージ15節]新潟 1-2 浦和/10月22日(土)/デンカS

 優勝の可能性もあった第2ステージ15節の新潟戦――。不動の司令塔である柏木陽介の負傷により、青木拓矢がボランチとして先発出場した。今季のリーグ戦では22試合に途中出場していたが、先発はこの試合が初となった。
 
「(試合前の)ロッカーで知りました」
 
 試合ギリギリまで聞かされておらず、急遽訪れた先発出場だった。それでも青木は中盤でバランスを取りながら小気味良くパスを散らし、機を見て効果的な縦パスを供給。見事に監督の起用に応え、勝利に貢献した。
 
 しかし試合後、青木の口から出てきたのは反省の言葉だった。
 
「対峙してる選手に負けてしまったと感じた。個人的に前にいる選手には負けないつもりで毎試合挑んでいますけど、今日は負けてしまった」

 この日対峙したのは、レオ・シルバだ。青木は「負けましたね。最初の一歩が早いですね。それはセカンドボールを拾いに行くところでも、切り返した後のとかの一歩がやっぱり早いなと感じた」とマッチアップを繰り広げたリーグ屈指のボランチについて悔しそうに話す。
 
 ただその一方で、青木はボランチでコンビを組んだ阿部勇樹と、好連係を見せた。阿部が前に出れば、そのカバーができる位置まで下がり、阿部がディフェンスラインまで落ちれば、今度は前でパスの起点となる。そのコンビネーションは、長年コンビを組んできたかのような、阿吽の呼吸が感じられた。
 
 青木はボランチの立ち位置的には3番手ではあるものの、ペトロヴィッチ監督からの信頼は厚く、第2ステージではここまで全15試合に起用されている。
 
「お互いを見ながらやっていたし、そこはバランスをしっかり取ってやれた。あとは相手の攻撃はカウンターだけだった。そこは気を付けながら常にやってるので、問題なかったですね」
 
 ここまで先発出場はなくとも途中出場を重ね、阿部とのコンビは熟練度を増している。L・シルバのような圧倒的な"個"に、1対1では「負けた」とはいえ、組織的な守備で対応し、決定的な仕事をさせなかった。

次ページそのバランス感覚は浦和という組織の重要なピースとして、欠かせないものになっている。

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