インテルの中国人オーナーが暴挙…UEFAのルールを「無視」する

2016年10月24日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

「それについては後で帳尻を合わせればいい」という態度で…。

今夏にインテルのオーナーとなった蘇寧グループの張近東会長。後先を考えずにFFPを無視する暴挙に出る。(C)Getty Images

 インテルは今夏、移籍収支が赤字になってファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の基準をクリアできなくなるのを承知の上で、移籍市場の最後にポルトガル代表MFのジョアン・マリオ(スポルティングから)とブラジル代表FWのガブリエウ(サントスから)の獲得に踏み切った。
 
 これは今年6月に新オーナーに就任した中国の蘇寧グループの意向によるもの。マイケル・ボーリングブロークCEOをはじめとする経営陣は、「このままだと今シーズンの決算でさらに赤字額が増大し、2年前のFFP違反時にUEFAと交わした合意の条件を満たせず、UEFAコンペティションへの出場資格を剥奪される可能性がある」と言って説得した。
 
 しかし、中国人オーナーは「それについては後で帳尻を合わせればいい」という態度だった。中国ではそれでも通用するのかもしれないが、ヨーロッパではそうはいかない。
 
 実際、この2人の獲得が同じ人数の選手放出とセットになっていなかったことで、UEFAは今シーズンのヨーロッパリーグ選手登録枠を2つ削減するという処分をインテルに対して下している。マリオとガブリエウ、さらにはジョフレー・コンドグビアが登録メンバーから外れたのはまさにそれが理由だった。
 
 来年6月30日までにUEFAとの合意を満たすことができなければ、インテルはUEFAコンペティションへの参加資格を剥奪されるだろう。
 
 9節を終えて14位と低迷しているが、仮にここから巻き返してチャンピオンズ・リーグ(セリエA3位以内)かヨーロッパリーグ(同4~5位)の出場権を獲得しても、インテルは来シーズンその参加が許されない可能性が高い。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016.10.20号の記事を加筆・修正。

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【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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