【新潟】浦和の堅守を破るにはこれしかなかった。R・シルバの鮮烈弾が生まれた理由

2016年10月24日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「試合のなかで起こったミスから奪ったゴール」

R・シルバ⑩は浦和戦で今季10得点目を記録。スピードに乗ったドリブルからのゴールは迫力満点だった。写真:徳原隆元

[J1第2ステージ15節]新潟 1-2 浦和/10月22日(土)/デンカS
 
 早々に興梠慎三に先制点を奪われ、1点ビハインドで迎えた15分、R・シルバのゴールで同点に追いつく。
 
 背番号10を背負うブラジル人アタッカーは、ビルドアップをする浦和DFのパスが弱くなったところを見逃さずにパスカット。そこからは圧巻だった。ボールをカットした勢いそのままに、2回のまたぎフェイントを織り交ぜながら遠藤航を抜き去り、40メートルを駆け上がると、最後は冷静にGKの位置を確認し、ゴール左隅に流し込んだ。
 
 チームは終盤に決勝点を許し、敗れたものの、R・シルバはこれで今季10得点目。ふた桁の大台に乗せた。
 
 大きなインパクトを残した浦和戦でのゴールだが、本人は「特別パスカットを狙っていたわけではない」と言う。
 
「試合のなかで起こったミスから奪ったゴールです。浦和のディフェンスラインは、しっかり守ってくるというのは試合前から分かっていたことです」
 
 パスカットを特別に狙っていたわけではないと語ったR・シルバだが、試合前に意識していたことがあった。それをひとつのゴールを引き合いに出して、こう語る。
 
「ルヴァンカップでアデミウソン選手が決めたように、何かが起こった時。自分にチャンスが来た時にしっかりとゴールを決める。そういう部分は狙っていた」
 
 今季、リーグ最少の27失点を誇る浦和の堅牢な守備にも、ミスが起こらないとは限らない。そして完璧を求めるチームとあって、〝エラー″が起き際の対応に慣れてない印象も受ける。
 
 ルヴァンカップ決勝のアデミウソンのゴールもそうだった。中盤でスクランブル状態からボールを失うと、セカンドボールを拾われ、カウンターからアデミウソンの独走を許し、失点した。この時アデミウソンのマークについていた遠藤は、身体をうまく入れ替えられ、カバーが遅れた槙野智章は、スピードで振り切られた。
 
 浦和の組織された守備を打ち崩すためには、ミスを見逃さないこと。
 
 ただしR・シルバのコメントは裏を返せば、浦和から点を取るには、サプライズ的なことが起きなければ点を取るのは難しかったということだ。
 
 ミスを確実に突く――熟成された浦和の堅守を破るにはこれしかなかった。
 
 チームは敗れたものの、数少ないチャンスをモノにしたR・シルバは、ストライカーとしての価値を証明した。
 
 取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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