【大宮】横谷繁インタビュー|ボランチで新境地を切り開く大器の本格開花(前編)

2016年10月21日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「最初は周りとの距離感の遠さに戸惑った」

「ボール回しのイメージはスペイン代表やバルセロナ」。中盤の底から攻守で主導権を握る大宮のサッカーを支えている。写真提供:大宮アルディージャ

 リーグ戦で第2ステージ7節・福岡戦から8試合負けなし(5勝3分)と、シーズン最終盤に入っても好調を維持する大宮。その強さを支えるのが、正確な右足と身体の強さを武器に、中盤の底で攻撃のタクトを振るう横谷繁だ。
 
 試合に出場できない日々を知り、G大阪への復帰を含めて4度の移籍を経験し、ポジションを変えながらも、真摯にサッカーへと取り組む男の源流とは? 右サイドハーフからボランチへと転向した際の心境とともに、新境地へと立ち向かう大器の思考を前編・後編に分けて紹介する。
 
――◆――◆――
 
――今季開幕当初は右サイドハーフで起用されており、ボランチは選手交代時のオプションとしてプレーする程度でした。第2ステージ3節・G大阪戦から、6節・神戸戦を除いてボランチで起用され続けていますが、中盤の底の居心地はどうでしょう?
 
 最初は少しやりにくさがありましたね。周りとの距離感の遠さに戸惑いを感じました。孤立とまではいきませんが、攻撃時にボールがほしいスペースで受けられなかった。受けた後のイメージも全然できていなかったです。
 
 サイドハーフでプレーしていた時とは距離感が違うので、「コンビネーションで崩す」ことが3試合くらいはできなかった。僕がボランチとしてスタメンで出場し始めた当初は、なかなかチームが勝てていなかったですし……。
 
 僕がボランチに入ることで「攻撃にリズムが出た」という話を耳にしましたが、結果も出ていなかったですし、まったく満足していなかった。でも、徐々に周囲とは相互理解が深まって、ボランチとしての"横谷スタイル"を分かってもらえるようになりました。
 
 前線にはアキ(家長昭博)という溜めを作ってくれる選手もいます。そこにボールを預けた時に、より攻撃的なポジションを取れるのかなと、最近は思っています。
 
――サイドハーフとボランチでは役割が明確に違う。ボールの受け手ではなく、出し手になります。
 
 僕のボール回しのイメージは、スペイン代表やバルセロナ。中盤に人数をかけて、互いの距離感を縮めてパス交換をしながら、ここぞの場面で相手SBの裏などにスルーパスを出す。それを理想としています。
 
 ただ、大宮にはドリブルが得意な選手がワイドにいますし、チームの重要な武器です。それを効果的に活用しながら、「いかにポゼッションするか」を考えて配給役を務めなければなりません。

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