【内田篤人の告白】希望と絶望の狭間で<パート1>。「その時は正直、治る気がしなかった」

2016年10月18日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「今年1月に検査を受けた時はまだ痛みがあって…」

復帰に向けてリハビリで調整中の内田。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 7月初旬、鹿島のクラブハウスを訪れると、練習のピッチには内田の姿があった。パスゲームもこなし、正確なロングボールを何本も味方に通す。右膝の状態は見るからに良くなっており、そう遠くないうちに復帰できるだろうという期待感を持てた。
 
 その後、シャルケで復帰に向けて調整を続ける内田が10月4日にはMRI検査で「良い結果」を得た。カムバックに向けてひとつ階段を上ったわけだが、そこに至るまでの苦労などを本人の声で振り返りたい。以下のインタビューは、7月にシャルケへ渡る前に記録したものだ。

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──鹿島でリハビリをして以降のコンディションは?
 
「逆に、訊きたいです。どんな風に見えました? (鹿島で)練習中の僕は?」
 
──だいぶ動けていますね。
 
「僕もそう感じています。ある程度のところまでコンディションは戻ってきていますよ」
 
──ロングボールもバンバン蹴っている姿が印象的でした。
 
「普通に蹴れるようになりましたね。怖さはほとんどないです。むしろ、気をつけているのは基本動作。止まる、ターン、ジャンプ、これらが膝に一番負担がかかる。筋力トレーニングもそう。怖いのは、室内で"ブチッ"というアクシデント。足を着いた際の"ブチッ"というのも嫌ですけど、その辺は慣れですね」
 
──フィジカルコンタクトもこなせていますか?
 
「まだやってないです。たぶんできるとは思うんですけど、(鹿島の)石井監督とも相談してやらないようにしています。ここで怪我をして、アントラーズに迷惑をかけるわけにはいかないので」
 
──今年の1月後半、シャルケの全体練習に一度は合流しながらも再離脱してしまいま
した。当時の状況を改めて教えてもらえますか?
 
「1月に検査を受けた時はまだ痛みがあって。でも、『問題ない。この程度ならやっているうちに治るだろう』と言われて全体練習に合流したんですけど、全然良くならない。むしろ、悪化して……。筋力も落ちてきたから、『これはちょっと無理だな』と思って離脱しました」
 
──昨年末あたりには「夜に痛みがあったり、なかったり」と言っていましたが、今はどうですか?
 
「夜に痛みが出たり、腫れたりするのは膝の調子を図る目安みたいなものです。昼間に練習をして、夜に膝が熱くなると『負荷をかけすぎたかな』という感じ。今はあまりそうならないので、状態はたぶん良くなっています」

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