【ルヴァン杯決勝】劇的な同点弾でMVPを獲得した李。頭をよぎったのは、11年アジア杯の"あのゴール"

2016年10月15日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「ゴールの瞬間は“来い来い”ではなく“来る来る”という感覚だった」

優勝トロフィーとMVPのクリスタルを掲げる李。途中出場から同点弾を決め、ビハインドを負っていたチームを救った。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯決勝] G大阪1(4PK5)1 浦和/10月15日/埼玉スタジアム2002
 
 G大阪の1点リードで迎えた76分、浦和に起死回生の同点ゴールをもたらしたのは、直前にピッチに立ったばかりの李だった。柏木のCKに頭で合わせ、ファーストタッチでネットを揺らして見せた。

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「(2011年の)アジアカップを思い出しました。あの時の気持ちの持って行き方が生きました。自分のところに来るんだという想いが引き寄せたゴールだと思いますし、自分がヒーローになるんだという攻めの気持ちが得点につながりました」
 
 2011年に日本をアジアチャンピオンへ導いた、オーストラリア戦の"あのゴール"を彷彿とさせる一発は、直前に自分のもとにボールが来るという確信めいたものがあったという。
 
「(ピッチサイドで、CKになったところで)自分で代えてくれとレフェリーに言いました。取れる感じがしたので。自分のところに"来る来る"と思っていた。"来い来い"という感覚ではなく"来る来る"という感覚だった。だから点を取っても驚かなかったし、予想通りだなという気持ちでした」

 さらにMVPの獲得にも喜びを見せる。「こういうものをもらえたというのは神様のメッセージ。これからも苦しい時にチームを救える選手になりたい」と力強く語る。
 
 また、今回のタイトルは、広島時代にも薫陶を受けた恩師・ペトロビッチ監督に捧げたいとも続ける。
 
「僕もミシャ(ペトロビッチ監督)のためにこのチームに来たという理由があったので、彼がタイトルを獲れたというのは今までの恩返しになったのかなと。広島時代に彼のサッカーに出会って、プレーの幅は広がったし、日本代表にも入れた。プレミアリーグにも行けた。彼がいなかったらこんなにいろんな世界を見られなかった。素晴らしい監督です」
 
  そして、見据える次なる目標はJリーグでの年間優勝だ。
 
「今から(頭は)Jリーグに切り替わっている。(10月22日の新潟戦で第2ステージの)優勝を決めてチャンピオンシップでの戦いを目指したい」
 
 大舞台で勝負強さを見せるストライカーは、今後もチームに勢いを与えてくれそうだ。

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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