“豪州のレジェンド”アロイージは日本代表の姿に「ショックだった」。豪メディアも守備的戦術に驚き隠せず

2016年10月13日 植松久隆

ハリルホジッチ監督の選手起用をある程度評価する記事も。

最大のライバルと目されたオーストラリアにドロー。地元メディアは、このゲームをどうとらえたのか。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 日本と豪州、新旧のアジアカップ王者が雌雄を決した日豪戦から一夜が明けた。豪州メディアが11日の夜に行なわれた試合をどのように伝えるかを見る一番の指標は、開催地メルボルンのローカル新聞がどのように取り上げるかを確認するのが一番だろうと、まずは、宿舎近くの新聞店に走った。
 
 手に取ったのはメルボルンのローカル2紙。まずは、大衆紙「ヘラルド・サン」。裏一面の上半部にかなり大きく、惜しいヘディングを外して大仰な仕草で悔しがるマシュー・スピラノビッチの写真と共に「なんて無駄だ!」の大見出し。その下には「ポステコグルー監督、なんとかドローで凌いだサッカルーズに喝」という見出しが続く。
 
 中面では、大きく見開きで試合を詳報。大きな写真で扱われたのは、得点直後の歓喜の原口元気、PKを冷静に沈めたキャプテンのミレ・ジェディナクの日豪それぞれの得点シーンと、あわやのホームでの敗戦からチームを救った守護神マット・ライアンのファインセーブの写真が、ほぼ同じ大きさで並んだ。
 
 もう一紙は、一般紙「ザ・エイジ」。こちらもタブロイド判の中面で、PKを決めチームメートに祝福されるジェディナクの写真を大きくフィーチャー。そこには「サッカルーズ、一安心」となんとかPKで同点に追いつき、負けずに済んだ自国の代表チームを少し揶揄するような意図の見出しが躍る。
 
 同じエイジ紙のウェブ版には「日豪、勝点をシェア」とのマイケル・リンチ記者の記事。そこには、「日本のハリルホジッチ監督は、選手の怪我もあり辛勝したイラク戦から4人の選手を替えてきた。イラク戦で出番のなかった香川真司の起用は、日本代表が最終予選での戦いを立て直すために選ばれた人選において最も特筆すべきもの。ハリルホジッチの決断は実を結んだように見える」との興味深い記述があった。
 
 文脈上、4人のイラク戦からの変更起用された選手すべてを指すとも、香川個人を指すともとれる微妙な一文だが、いずれにしても、イラク戦からの選手起用の変更をポジティブに捉えている点で興味深い。
 

次ページドイツW杯で日本を敗北に追いやったあの名手も「あんな日本を見たことがない」。

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