「ビッグ4」から「ロンドン世代」へ。結果を出した清武、原口、山口らにバトンを渡す時は来た

2016年10月08日 佐藤俊

本田、岡崎、長友、香川のクラブでの出場機会はメッキリと減り、ピッチでの存在感を失いつつある。

イラク戦で決勝点を挙げた山口(16番)や先制点をアシストした清武(13番)。先制点の原口(8番)らロンドン五輪世代が台頭してきた。(C)SOCCER DIGEST

 イラク戦は「劇的な勝利」だったが内容に乏しく、次につながるかと言えば、そうとは言い切れない。
 
 日本代表に威圧感というか迫力がないし、若いイラク代表に見下されている感すら受けた。実際、イラクはビビらず果敢に攻めてきた。戦前は必死に守るスタイルという話だったが、ピッチに立って「やれる」と感じたから前に出てきたのだろう。
 
 そういう時こそコテンパンにやっつけ、「日本強し」の印象を植え付けるべきだったが、まさかの苦戦。これでは今後はもちろん、世界との戦いになった時、不安で仕方がない。
 
 こういう試合では光明を見つけるのが難しいが、ひとつ見えてきたものがあった。
 
 世代交代の風が吹いたのだ。
 
 イラク戦、ベンチには香川真司、長友佑都が座っていた。岡崎慎司は75分に浅野拓磨と交代し、さらに本田圭佑も81分、小林悠と交代した。本田は「監督の指示が前の3人は疲れた選手から代える」と交代について語っていたが、主力4選手がピッチにいない光景は、ここ数年見られなかった今を象徴するシーンだった。
 
「ビッグ4」と言われる本田、長友、岡崎、香川は北京五輪組で4年前ブラジ・ワールドカップ最終予選の時は主力中の主力だった。とりわけ本田は絶対的なエースとして君臨し、ほとんど途中交代することなどなかった。
 
 実際、当時の本田はオーラもプレーも別格だった。26歳と若く、CSKAモスクワで主役を張り、代表でも不可欠な存在だった。長友もインテルに入団して高みを目指し、岡崎はシュトゥットガルトで結果を出し始めた。香川はドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した頃でキャリアのピークにいた。みな若く、野心に溢れ、試合に出て結果を残し、成長していた。彼らのエネルギーが日本代表を強くし、より高みを目指す集団にしていったのだ。
 
 だが、4年後の今、本田はミラン、岡崎はレスター、長友はインテル、香川はドルトムントと所属クラブは有名だが、出場機会はメッキリと減った。そのせいかプレーの迫力、ピッチでの存在感を失いつつある。

次ページ本田や岡崎は終わりだ、もう起用するなと言っているわけではない。

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