「ブーイングしすぎ」発言の真意は? 本田圭佑が感じたイタリアのサポーター文化への違和感

2016年10月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ブーイングしていたのに、勝ったらいきなり家族に戻る」

10月4日の日本代表練習後、本田はイタリアのサポーター文化に対する見解について改めて口を開いた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「日本のスタジアムは優しい。イタリアとは天と地の差ほどある」
 
 10月4日、帰国後すぐに埼玉スタジアム2002・サブグラウンドでの日本代表練習に合流した本田圭佑は、メディア取材の最後にそう語った。
 
 きっかけは、ある記者の「ミラノでのサポーター文化に関する発言の真意は?」という質問。帰国直前のサッスオーロ戦(10月2日のセリエ7節)後、本田は取材陣の前でミラン・サポーターのブーイングに苦言を呈していたのだ。
 
「日本のスタジアムは、サッカーが観たくて観たくてという人で満員になっているわけではなくて、日の丸を応援するみたいな雰囲気がある。オリンピックに近いというか、極端に言えばバレーボールでもラグビーでもよくて、日本が勝てばいい、日本が頑張っていればいいという感覚がある。だから俺も日本代表として、あくまでサッカーを通じてですけど、サポーターのみなさんに貢献していきたいという思いがあります」
 
 そんな日本のサッカー文化に理解を示す一方、以前には「勝てなければブーイングされるのは当たり前。批判は受け入れます」と語っていた本田。しかし、イタリアのサポーター文化はもはや"行き過ぎ"ていると感じているという。
 
「ブーイングに関しては、まあ日本はないですよね。でも逆に俺は、ミランのサポーターはブーイングをしすぎていてダメだと思っているんですよ。例えば、試合に負けていると、ミランのサポーターは完全に見放すんですね。そこに愛情は一切感じられない。まあ、『嫌いになったから、お前らは見放す』っていうんなら、それはそれで仕方がないんですよ。でも、勝ったらいきなり『家族』に戻るんですよね(苦笑)。数字(結果)の問題だけなのかと。だから、こないだの試合後に、何かを変える必要があると言わせてもらったんです」
 
 クラブ関係者や選手はもちろん、メディアやサポーターに至るまで"結果至上主義"がいまだ蔓延るイタリアは、異常と表現して差し支えないほどのプレッシャーがサッカー界を覆っている。それが昨今のカルチョ地盤沈下の大きな理由になっているという声は少なくない。
 
「いまイタリアがこうした状況になってるのって、俺はそんなとこが影響していると思っていて。要は結果にだけ執着している。スーパーなタレントがいれば大きなプレッシャーも受け流せるけど、ミランもイタリア代表も今はそんな選手ばかりではなくて。物事を良くしていく中で、そんなドライな感覚だけでは状況を打破できない。マルディーニやガットゥーゾみたいな選手が出てこないとダメだってことになる。でも、現状いるメンバーで再建を目指すんであれば、選手を突き放して萎縮させても……。まあ、サン・シーロ(ミランの本拠地)の雰囲気が分からないと、この感じは分からないかもですが……」

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