ミランで再び「劇的な世代交代」? 新星ロカテッリが主将モントリーボに引導を渡す勢いだ

2016年10月03日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

今や本田よりもチーム内序列は上だ。

途中出場したサッスオーロ戦で劇的な同点ゴールを叩き込んだロカテッリ。この18歳に対する評価が日増しに高まっている。(C)Getty Images

 10月2日のサッスオーロ戦(セリエA7節)を4-3という乱打戦の末にモノにしたミラン。この試合でロッソネーロのいわば救世主となったのが、MFの逸材マヌエル・ロカテッリだった。
 
 1-3の状況だった59分に主将リッカルド・モントリーボに代わってピッチに送り出されると、正確なパス出しで攻撃の起点になっただけでなく、激しい守備で中盤を引き締める。さらに73分には、効き足ではない左足で豪快なミドルシュートで叩き込む。逆転勝利に繋がる貴重な同点ゴールだった。
 
 イタリア代表にはU-15代表から名を連ね、現在のU-19代表ではキャプテンも務めるこの大器は、1998年1月8日生まれの現在18歳。育成の名門アタランタの下部組織で育ち、2009年に11歳でミランのアカデミーに引き抜かれた。早くから天才少年として注目を集めた同世代のハキム・マストゥール(現在はミランからズウォーレにレンタル中)とともに各カテゴリーを足早で駆け上がり、トップチームの練習にも参加するようになっていった。
 
 そして、プリマベーラ(U-19)で薫陶を受けたフィリッポ・インザーギがトップチームを指揮していた2015年3月16日のフィオレンティーナでは、17歳になったばかりながらセリエAで初のベンチ入り。その2週間後には、同じく将来を嘱望されるGKジャンルイジ・ドンナルンマ、FWパトリック・クトローネとともに、15年7月1日から18年6月30日までのプロ契約を締結した。
 
 続く2015-2016シーズンは、シニシャ・ミハイロビッチ監督の下で頻繁にトップチームに招集され、プリマベーラで指導を受けたクリスティアン・ブロッキが暫定監督に就いていた16年4月21日のカルピ戦では、途中出場でついにセリエAデビュー。最終節のローマ戦では先発フル出場を果たした。
 
 迎えた今シーズンはプリマベーラを卒業して完全にトップチームの一員となり、4節からセリエAゴールを決めた先のサッスオーロ戦まで、4試合連続で途中出場を果たしている。
 
 元々は技術力の高さや長短のパスでゲームを作るセンス、そして正確なFKから「ロッソネーロのシャビ」、「新たなアンドレア・ピルロ」などと呼ばれてきたが、186cm・75kgというMFとしては十分に大柄な体格、守備でもハードワークを厭わないそのプレースタイルは、本人が憧れるシャビ・アロンソを想起させる。
 
 新監督のヴィンチェンツォ・モンテッラは、この攻守のバランス感覚を高く評価。後半途中にスソやエムバイ・ニアング、ソサなどを下げてロカテッリをアンカーに入れ、中盤のバランスを取る采配をしばしば見せる。
 
 ここまでの出場時間は合計108分。ポジションこそ違うが、わずか18分(途中出場2試合)の本田圭佑よりも、チーム内序列はすでに上だ。

次ページ昨シーズンのドンナルンマと状況が似ている。

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